新緑がまぶしく、空にはこいのぼりが舞う季節になりましたが、
屋根の上に太陽光パネルが並んでいる光景も
近年よく見かけるようになりました。
家庭で使う電気を自宅で蓄電して使うために
太陽光発電システムを導入される方が増えたようです。
太陽光発電システムの導入は、省エネ対策にもなりますし、
余った電力は買い取ってもらえる魅力的なサービスもありますので、
一時はブームにもなりました。
今日は、そんな屋根に乗っかっている太陽光発電システムと
改めて見直されている太陽熱温水器についてお話したいと思っております。
リフォーム・リノベーション専門店
「住まいの健康寿命診断士」こと
ふくろうはうすの高橋がお届けします。
【リスクも考える】屋根の太陽光パネルが雨漏りの原因に!?
省エネやエコに繋がる太陽光パネルにも、
実はリスクに繋がるケースがあります。
こういったリスクも考慮の上、取り入れて頂きたいなと思いますので、
実際にあった事例を紹介したいと思います。
数年前のお話です。
太陽光パネルを乗せたことが原因で雨漏りが発生した
お客様からご相談をいただきました。
築22年目のお住まいですが、新築して5年後(17年前)に
太陽光発電システムを設置されたそうです。
ご依頼いただいてから
実際に雨漏りが発生した時にお住まいを訪ねて、
調査診断させていただきましたが、
太陽光パネルの過重負担に耐え切れず
屋根を支えている小屋下地がたわんでいました。
「このままでは、屋根の負担が大きすぎるため、
パネルを撤去する方が良いと思われます。」
と説明した上で、雨漏りの補修を行い
様子を見ていただくことにしました。
最近になって、また雨漏りが発生したと
ご連絡をいただきましたので
お伺いすると小屋下地は更に厳しい状況にありました。
今回は、太陽光パネルを降ろさないと
屋根が持ちこたえられない危険性があり、また、
寿命を迎えた太陽光パネルを置いておくメリットも少ないため
撤去することになりました。
屋根は丈夫だというイメージがありますが、
もともと何百キロも載せる仕様で作られているわけではありません。
そのため、実際に太陽光パネルを設置する場合は、
屋根下地を厚くするなど、
過重負担に耐えられるような施工を行ってから
太陽光発電システムを乗せるという順番で行うのが
適切な施工となります。
エコという名の影に潜む太陽光パネルの大量廃棄問題
鳴り物入り(*1)だった太陽光発電システムですが、
寿命を迎える時期になると、大量廃棄問題が新たに浮上してきました。
*1 鳴り物とは、鳴り物を入れて、にぎやかにはやしたてること。おおげさに宣伝することの意。
太陽光発電システムを設置されて約20年のお客様からも
寿命を迎えた太陽光発電システムについて、
今後どうするのがよいでしょう、とご相談をいただきました。
設置から20年を過ぎたシステムの発電効率は
当初の60%くらいに低下しています。
また、システム設置費、維持費、撤去・廃棄費用など
約20年間でかかる費用と発電で得られる利益を計算し
比べてみると残念ながらマイナスでしかありません。
今回のケースを換算してみると約60万円の赤字でした。
そのため、お客様は、新しい太陽光パネルへの交換ではなく、
現パネルの撤去のみのご判断をされました。
太陽光発電システムの寿命は、太陽光パネルが約20年
パネルで発電した電気を家庭用や売電用の電気に変換するための
コンバーターの寿命が約10年と言われています。
これから寿命を迎え撤去される太陽光パネルが
大量に廃棄されると予想されますが、
太陽光パネルは再生することが非常に困難な上、
鉛やセレンなどの有害物質が含まれているため
適切に処分してから、バラバラにして埋めるしかなく、
負の遺産になりつつあります。
また、太陽光パネルの寿命までの発電量を換算すると
製造に使用される電気量の方が高い(多い)という現実もあります。
最近、見直されてきた太陽熱温水器について考えてみる
太陽光パネルが屋根に並ぶ以前には
太陽熱温水器が多く設置されていました。
寿命を迎えた太陽熱温水器を
屋根の塗装時に撤去することが多く
新たに導入しない傾向が続きました。
ところが最近になって、太陽熱温水器の費用対効果が
見直され、設置を検討する人が増えてきました。
例えば、リフォームなどで二世帯住宅にする時に、
省エネを取り入れて、エネルギーコストを抑えたいと
希望される場合などです。
太陽熱温水器と給湯器の配管を繋げて使用すると
水から沸かすよりも給湯器が約2倍長持ちします。
給湯器は熱交換機から熱を吸収して湯を沸かしますが、
熱交換機には銅板が使われていて、
その銅板は熱にあまり強くないので、
熱し続ける時間が長いと劣化してしまいます。
そこで、本来給湯器に送り込まれていた真水を
太陽熱温水器で温められた湯へと変えることによって、
真水から温めるよりも加熱時間が短縮されますので
熱交換機の負担が少なくなり寿命が長くなります。
お住まいの中で一番エネルギーコストがかかるのが
実は給湯(お風呂)です。
その高い負荷がかかる部分を
太陽熱を使ってお湯を沸かすことができるので、
省エネになりますし、自然に優しい暮らしができます。
太陽熱温水器設置でなんと!エネルギーコストが1/2に!?
太陽熱温水器には、水をそのまま屋根に上げるタイプ(直接型)と
不凍液を循環させて地上のタンクに貯める比較的軽いタイプ(間接型)
が、あります。
直接式の場合、夏場には、午前中にお風呂をためて、
午後もう一度湯をためられるほど効率的です。
集熱部が真空になっているので(ポット=まほうびん状態)、
冬場の外気温が低い季節でも、太陽が出ているとお湯が温まります。
太陽熱温水器設置後に統計を取ってみると、
エネルギーコストはそれまでの1/2に抑えることができました。
設置する際は、太陽熱温水器もかなりの重さのため、
雨漏りの原因になることがあり、注意が必要です。
屋根に負担をかけないという点では
温水器が軽いタイプの循環式の方がはるかによいのですが、
地上タンクやポンプが必要になり
直接式の倍くらいのイニシャルコストがかかります。
新築やリフォーム時に荷重に耐えられるように屋根を補強した場合は
直接式を導入して費用を抑えることができます。
また、太陽熱温水器の寿命は20年以上と言われています。
省エネ、エコを取り入れたいと思っている方や、検討されている方は、
今回の記事を参考にしていただければ嬉しいです。
太陽光発電システム、太陽熱温水器などの設置や
リフォーム、リノベーションをお考えの方、
また、屋根の雨漏りでお困りの方は、
「住まいの健康寿命診断士」の私、高橋まで
お気軽にご相談ください。
お住まいのお悩みやお困りごとについても
お気軽にお問い合わせくださいね。
次回は「書籍『群馬発! 住まいの健康長寿リノベーション!』完成しました!」のテーマで準備しています。
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