囲炉裏や火鉢が中心だったころの冬の寒さの凌ぎ方と食の楽しみ~古民家に思いを巡らす~


厳しい寒さが続いていますね。
私の妹の住む群馬県の昭和村は、標高が1,000mほどあり、
1~2月の最低気温が平均-6℃で、雪が積もります。



代々引き継がれてきた古民家(妹の住む家)を
5年ほど前の2019年にリノベーションさせていただき、
土間に薪ストーブを設置しました。



それからは、
冬場を暖かく過ごせるようになりましたが、
リノベーション前までは、
石油ストーブを使っても、隙間風が入ってくるため、
部屋全体を暖めることは難しい状態でした。



妹の住む古民家が建てられた約160年前は、
幕末から明治へと移り変わった頃です。



そのころ、どんな風に寒さを凌(しの)いでいたのか、
今回はそんなお話をさせていただきます。





囲炉裏を中心とした家族の生活


石油ストーブがなかったころ、
暖を取るためのものといえば、
囲炉裏火鉢などを用いた
体の一部を温める局所的な暖房でした。



をおこし、お湯を沸かすなどしていましたが、
現在のように家全体を暖めるというものでは
なかったのです。



囲炉裏の部屋が家の真ん中にあり、
年中、絶やすことなく火が焚かれていました。



群馬県では、
養蚕(ようさん)を行う兼業農家が多く、
家の造りは、1階の天井部分が少し低く、
2階の天井は高くなっています。



1階の囲炉裏から暖気が上がると
2階の蚕室(さんしつ)が暖かくなり、
お蚕(かいこ)さんを育てるための
暖かい室温が保たれます。



生活の糧になるお蚕(かいこ)さんが中心で、
人は二の次という感じでした。



また、玄関に入ると土間が広く取られていて、
田畑を耕すための馬や牛を1~2頭飼って
家族と一緒にひとつ屋根の下で暮らしている家を
私が子どものころは、よく見かけていました。



冬場には、囲炉裏の部屋を囲むように
厚みのある板で造られた板ふすまを立て、
暖気がなるべく逃げないようにしていました。



昭和村の妹の家には、
けやきの一枚板で造られた立派な板ふすまがあり、
リノベーション時に再利用し、現在も使われています。



冬が終わり、暖かい季節が来ると板ふすまを取り外し、
夏場には、通気ができるよう、
細かい千本格子の夏障子に交換するなど、
夏と冬で建具を入れ替えることもあったそうです。



夏障子は紙を貼らず、
格子の部分の細い棒状の木材がたくさんある感じで、
細かい縦格子のデザインのものが多かったです。



障子紙を貼らないと虫が入ってくるため、
就寝時には、部屋の中に蚊帳(かや)を張って
防虫していました。



話を戻しますが、冬場は、
夕方になると日が落ちないうちに雨戸を閉め、
翌朝に雨戸を開けていました。



日が暮れないうちに家に帰り、
夜なべ作業の準備をしてから、夕飯の支度を整え、
夕飯の後、夜なべ仕事を行っていました。



お日様とともに起き、暗くなったら寝るという生活が
当たり前でした。





囲炉裏で保存食づくり


囲炉裏には年中火がかかっていて、
囲炉裏の周りを家族が囲み、
コミュニケーションを取りながら、
ご飯、おかゆ、おじや、けんちん汁、みそ汁などを
煮炊きして、みんなですくって食べていました。



また、囲炉裏の周りで川魚を素焼きにして
干物を作り、保存食にしていました。



囲炉裏に堆積した灰が深くなり、
常に火をかけて暖まっているため、
新潟から山を越えて届いたわかめを
囲炉裏の灰の中に入れまぶして、
灰干しわかめを作っていました。



囲炉裏の上には、
網棚替わりのマス目格子の木の板が乗っていて、
大根を吊るして作る大根の燻製「いぶりがっこ」など、
冬場の保存食づくりの役に立っていました。



囲炉裏で煮炊きしたあと、
竃(かまど)から拾った炭を
火鉢に入れて、おのおので暖を取ったり、
七輪に炭を入れて煮炊きしたりしていました。





火鉢で体を暖め、火鉢を楽しむ


妹の家の古民家リノベーションの時に、
植木鉢より少し大きいくらいの素焼きの火鉢が
7~8個出てきましたが
火鉢の中が灰まみれで焦げていて、
もろくなっていたためすべて処分しました。



囲炉裏から拾った火を入れて、
それぞれの部屋の片隅に置いて使っていたもので、
土間にいる牛や馬の近くに置いたりもしていました。



石油ストーブに比べるとカロリーははるかに少なく、
部屋全体が暖まることはありませんが、
火鉢の近くにいて体を暖めることはできます。



また、火鉢の中に五徳を置いて、
お湯を沸かしたり、お餅を焼いたりして、
火鉢を楽しんでいました。



囲炉裏も火鉢も木炭を使った暖房器具ですが、
その後、ガス石油などの熱源が使われ始め、
生活が激変していきます。



今回は、部屋の空間を暖める暖房器具がなかったころの
囲炉裏火鉢を使った、の取り方や楽しみ方について
お話させていただきました。



お住まいの寒さにお困りの方は
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群馬県桐生市の工務店
リフォーム・リノベーション専門店
住まいの健康寿命診断士
ふくろうはうす(高橋建装)の高橋でした。

次回は「曳家(ひきや)移転に耐えられる構造補強&
ご家族の『好き』の詰まった空間へのリノベーション」のテーマで準備しています。
楽しみにしてくださると嬉しいです。

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