曳家(ひきや)移転に耐えられる構造補強&ご家族の「好き」の詰まった空間へのリノベーション


今から5~6年前の2018年、
新型コロナが流行る少し前に
大がかりなリノベーションをさせていただいた
お客様がいらっしゃいます。



このお客様のお住まいは、
区画整理対象区域に指定されていますが、
長期計画の中に組み込まれているため、
工事がいつ始まるのか、
見通しが全く立たない状況でした。



築10年ほどの物件を20年前に購入され、
築30年ほど経ったお住まいで、
屋根・外壁塗装など、必要なメンテナンスは
適切に行われてきたそうです。



ところが、長年のうちに、
お住まいが使いづらくなってきたため、
少しでも住みやすく改善できないかと、
お悩みをお持ちでした。



そこで、複数社の施工業者に、ご相談されたそうで、
「区画整理での移転の機会に、
お住まいを解体して新築した方がよい」
という回答ばかりだったそうです。



区画整理の移転計画が実施されるまで、
我慢して、現在のお住まいに住み続けるのか、
別の場所に引っ越した方がよいのか、
住みやすくするため、少しリフォームするのなら、
どのくらい費用をかければよいのか。



今回の記事では、区画整理の対象区域に指定された
お客様の事例についてお話させていただきます。





区画整理のための曳家(ひきや)移転


今回、ご相談いただいたお客様のお住まいから
数軒先のご近所さんになりますが、
たまたま、ふくろうはうすが施工させていただいた
別のお客様のお住まいがあります。



その別のお客様のお住まいも、
当時、区画整理の対象区域にあったため、
もともと建っていたお家の場所から移転先まで、
家を引っ張る、曳家(ひきや)移転を行いました。



新設された区画内に、基礎を造ってから、
お家を持ち上げ、引っ張り、新区画まで移動させ、
移転先の基礎の上に載せて完了です。



老朽化している等、移転が困難なお家は、
解体して、新区画に新築する場合もあります。



複数の業者から、
「お住まいを解体して新築する方がよい」
と勧められたお客様は、住宅展示場へ出向かれ、
新築のご相談もされていましたが、
納得のいく解決方法は見つかっていないご様子でした。



そんな中、ふくろうはうすへご相談いただきましたので、
まず、複数社が回答している
「お住まいを解体して新築する方がよい」
という判断基準について確認を行うことにしました。



例えば、区画整理が5年後、10年後として、
それまでお住まいが持ちこたえられるかどうか、
判断をする必要があります。



その上で、お住まいに十分な耐久性がある場合は、
曳家(ひきや)移転に耐えられる構造かどうか、
慎重に診ていかなければなりません。



こで、現状を把握するため
住まいの健康寿命診断」の実施内容や方法について、
お客様にご提案して、ご納得いただきました。



住まい全体をくまなく診させていただいた結果、
建物を支える重要な梁(はり)や柱は、
十分使える状態でしたので
多少バランスの悪い部分はありますが、
弱い部分の補修補強を行うことで、
曳家(ひきや)移転に備えることも可能と判断しました。





具体的な資金計画とお客様に寄り添ったプラン作成


客様は、当時、ご夫婦と娘さんの3人家族と、
病気がちの室内犬1匹が、一緒に暮らしていました。



介護が必要な愛犬のことを心配されていて、
「こんな状態でリフォームをしてもよいのか?」
という部分もお悩みのひとつでした。



お客様には、「ふくろうはうす 暮らしの見学会」に
お越しいただき、我が家をご覧いただき、その後、
住まいづくり教室」にもご参加いただきました。



リノベーションを行うために、かけられる費用
住宅ローンを利用した場合に最適となる返済計画
また、お子さんの進学時期にかかる費用など、
ご家族に必要な資金計画を立てるため、
ファイナンシャルプランナーに専門家の立場から
アドバイスを受けることができます。



私は「住まいの健康寿命診断士」の立場から、
住まいの周辺環境や地盤など土地の条件、
建物の構造、躯体寿命、製品寿命、
建材の種類や特徴、などのハード面と、
理想のお住まいを手に入れるための
夢マップや夢年表の作成、
間取りやインテリアの考え方などの
ソフト面について解説させていただきました。



また、「住まいの健康寿命診断」の調査診断結果から、
現状に敢えて手を加え、
構造補強を伴うリノベーションが可能なこと、
区画整理の移転時には、曳家(ひきや)移転で、
そのまま住み続けることができることを
説明させていただきました。



複数社を検討されていたお客様ですが、
「自分たちの考え方価値観に寄り添ってくれたのは
ここだけでした」
とプランのご依頼をいただきました。





曳家(ひきや)移転に備えたリノベーション


お客様の現在のお住まいの状態は、
広いスペースと狭いスペースがアンバランスという印象でした。



購入時に、既に増築されていた部屋は
使い勝手が悪く、納戸になっていました。



ご主人は、科学、天文学に詳しい方で、
ボランティアで、子どもたちに
ロケット実験などを教えているそうで、
実験研究のできるアトリエを持つ夢をお持ちでした。


奥様も手先が器用な方で、趣味が手芸とのことでした。



まずは、納戸状態になっている増築された部屋ですが、
袋小路になっている動線を回遊動線に変えるため、
家族が回遊できる、ひとつの部屋と位置づけ、
キッチンとつながるようにリンクさせました。



キッチンの床より一段低くなっていて、
ワンステップ下りたところに部屋があるため、
繋がり感が薄かったこともあり、
今回は、を上げて同じ高さに仕上げました。



その部屋には出窓もあったので、
で育てた木や花を眺められるようにして、
出窓の前にカウンターを設置して、椅子を置き、
奥様の趣味のミシン掛け手芸をしたり、
お茶を楽しんだりできる、
奥様専用のスペースにしました。



奥様のお友達が遊びに来られ、
「ここカフェみたい」とおっしゃったそうですが、
奥様は、おうちカフェに憧れていたそうで、
雰囲気作り飾り付けを楽しまれています。



2階の吹き抜け部分に、が張られて、
スペースが作られていますが、
部屋として使うには、とんでもないところにがあり、
風の抜け光の取り入れに難がありました。



ここは、2畳ほどの部屋が2部屋あり、
納戸が2つ並んでいるイメージで、
ご主人の実験道具や自作した作品が
所狭しと置かれ、積み重ねられていました。



現状では、この2部屋の間の壁を
取り払うことができなかったのですが、
今回の施工で屋根を2重構造にすることになり、
屋根で構造分散することで、
壁を取り払うことができました。



また、窓の位置をずらして、適正な場所に付け替えると
光や風の取り込みができるようになり、
省スペースですが、
ご主人専用のアトリエが完成しました。



造作で作った可動棚に実験道具や作品を収納して、
そこから必要なものを取り出しては、
実験などの作業が出来るスペースを構えました。



他にも、今回の施工で取り払うことができた壁があり、
キッチンを中心とした回遊動線が出来上がりました。



犬が過ごしていたリビングの出窓を腰窓に変更し、
日差しが入り明るく暖かくなったため、
気持ちの良い空間で、愛犬が過ごせるようになり
介護もしやすくなったと、喜ばれておりました。



キッチンとリビングの仕切り壁には、
小窓を設けましたので、キッチンに立っていても、
リビングの愛犬の様子を見たり、声がけしたりできるため、
最期まで安心して介護できましたと、
話しておられました。



お風呂と洗面脱衣室は北側にあるため、
光と風の抜けが悪く、寒くて暗いイメージでした。



そこで、お風呂と洗面化粧室の部分を1坪増築して、
洗面脱衣室に天窓を設置することで、
光と風を取り入れたいとのご要望をいただきました。



今回のリノベーションでは、
1坪分を増築することによって
建物側の構造体が繋がるメリットがあるため、
敢えて増築することで、構造補強ができました。



全体的に、大がかりな間取り変更はしませんでしたが、
お住まいが使いやすくなる工夫をさせていただきました。



お客様は、「住まいの健康寿命診断」の
調査診断結果について、興味を持たれ、
様々な質問をされたり、診断に協力的だったり、
詳細も科学的な目線で見て下さいました。



プラン作成時には、いくつものパターンを提案して、
シュミレーションを行い、
数式を用いた科学的な推論(すいろん)の説明に
理解を示してくださいました。



施工から3~4年経っていますが
「快適なはずですね」と、
科学的にも実体験をされています。



また、趣味の「好き」が詰まった空間で、
暮らしを楽しみながら、
区画整理の移転計画が実施されるのを、
余裕をもって備えていらっしゃいます。



区画整理の対象地区などになっていて、
お住まいにお悩みのある方は、
ふくろうはうすの私、高橋までご相談くださいね。


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群馬県桐生市の工務店
リフォーム・リノベーション専門店
住まいの健康寿命診断士
ふくろうはうす(高橋建装)の高橋でした。



次回は「『住まいの健康寿命診断』で見つかったシロアリ発生と
断熱リノベーション」のテーマで準備しています。
楽しみにしてくださると嬉しいです。

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