建築現場での振る舞いとモノづくりの基本を教わった祖父との思い出

2023年9月18日は敬老の日


今日、2023年9月18日は敬老の日です。
ご両親やおじいさん、おばあさんのお家を訪問して、
お祝いされている方もいらっしゃると思います。


私も祖父母のことを懐かしく思い出します。



このコラムで、何度か私の祖父母の話を
させていただいていますが、
今日も、祖父母の思い出を語らせていただこうと
思います。





建築現場の基本は掃除


私が子どもの頃、父方の祖父母は、
近所に暮らしていましたので、
私は自宅と祖父母宅を頻繁行き来して、
双方からおかずを1品おすそ分けしたりなど、
おつかいもよくこなしていました。



5~6歳くらいになると、祖父は私を建築現場へ
連れて行くようになりました。


そのころの記憶で、思い出深いのは病院の改修です。



病院の隔離病棟で、伝染病などの患者さんの退院後、
専門の消毒班により一斉清掃が行われ、
その後、左官職人が壁に漆喰(しっくい)を
塗る工程がありました。

漆喰塗り


漆喰(しっくい)には、抗菌作用があるため、
度々塗り替えができるよう、
塗料のように薄く塗り伸ばせるような配合量で
液体に近いようなものを塗っていました。



当時は「にかわ」と呼ばれる、
牛や豚など動物の皮や骨などを煮溶かした後、
板状にして冷まして固めたものを
短冊切りにして保存していました。


「にかわ」には接着剤の作用があります。



漆喰(しっくい)の元となる消石灰
にかわ」を細かく砕いたものを混ぜ、
で練って、かたまりを作り、
それを壁に塗り伸ばしていきます。


そのかたまりを作るのが、私の仕事でした。



また、一般のお家で養生作業をしたことも、
よく憶えています。



当時は、ベニヤ板に新聞紙をあてがい、
新聞紙の端に紙テープの幅の半分くらいを残して貼り、
養生シートを作っていました。


その紙テープを貼っていくのが、私の仕事でした。



養生のあと、テープを剥がしやすくするために
当時は、砥の粉(とのこ)と呼ばれる、
石を細かく砕いた粉を使い、
糊付けの部分に、あらかじめ、はたいておき、
弱粘化していました。



お客様への建物引き渡しの前には、
サッシの掃除などが、私の仕事で、
現場の基本は掃除」であることを叩き込まれました。

現場の基本は掃除


お客様のお住まいは人様(お客様)のものであること、
お引き渡しまでは、預かっている自分たちに責任があること、
大切に扱い、気持ちを込めて納めさせていただくことを
言葉だけなく、行い振る舞いによって教わりました。



祖父だけでなく、現場の多くの職人さんたちからも
学ぶことが多かったです。





モノづくりの基本は創意工夫


母方の祖父母宅へもよく遊びに行きました。



母方の祖父は、エンジンをバラして組み立てたりと
メカニカル関連全般が得意でした。



そんな祖父は、中島飛行機で、
零(ゼロ)戦の飛行機を作っていました。

ゼロ戦


戦時中、最先端の技術をいかに少ない材料
少ない道具で作り出すかというのが、
最大の課題だったそうです。



陸戦のための局地戦闘機や、本土攻撃に備えて
B29爆撃機をどれだけ高高度から迎撃できるか、
などの研究をしていました。



そんな時代背景ではありましたが、
祖父を含めた技術者たちは、
食うや食わずの生活を経験しながら、
戦後のことも視野に入れていたそうで、
「飛行機は戦争の道具じゃない」という
共通の思いを持っていたとのことです。


そんな技術者たちが想定していたのは「旅客機」。



大型爆撃機「富嶽(ふがく)」の設計には、
戦後、多くの人を乗せて運ぶ「旅客機」を作りたい、
との思いが込められていたそうです。



戦時中の話をほとんどしなかった祖父から
世界中の空を自由に飛び回る、
日本一高い山になぞらえた夢の旅客機の構想が
「富嶽(ふがく)」だったと聞きました。



最近になって、
「富嶽(ふがく)」の設計図の一部が発見され、
祖父が話していたことと合致するようなことが
出てきました。



従軍絵師の手によるイラストも何枚か発見され、
日の丸を冠した「富嶽(ふがく)」の窓には、
一般人の大人や子供のたくさんの笑顔が描かれていました。



飛行機の研究開発を戦後も続けることができれば、
旅客機「富嶽(ふがく)」が誕生し、
日本の上空を飛んでいたかもしれませんが、
航空技術の一部は新幹線に変わったり、
車の製造技術に変わったりしました。



戦時中は物資の封鎖があり、
劣悪な環境や燃料という条件であっても、
少ない部品を工夫し、不純物からエネルギー転換し、
軽くて力強いエンジンを作る、
そういう発想でのモノづくりでした。

どんな条件でも工夫を凝らしたモノづくり


時代は変わっても、モノづくりの基本は
そういうものだと思います。





次世代へ伝えたいこと


両親と祖父母に見守られて育った私の世代は、
ご近所や地域のお付き合いなども活発に行われていて、
大人と子供の距離、家族とご近所さんとの距離、
また、個人と地域社会とのつながりが、
現在よりずっと近かったように思います。



後姿を黙って見せる大人たちが多くいて、
地域を支えていたという印象があり、
学校教育だけでなく、地域社会からも自然に
コミュニケーションや人付き合いなどを身につけられ、
成長を後押しする環境が整っていました。



そのような環境で育った自分が受け継いだ
というのはおこがましいかもしれませんが、
私が享受したものを今の時代に合った形で、
次の世代に伝えていきたいと願っています。


あなたのご両親やおじいさん、おばあさんとの
忘れられない思い出はどのようなものですか?


素敵なエピソードをお伝えくだされば嬉しいです。



リフォーム・リノベーションをお考えの方は、
ふくろうはうすの私、高橋までご相談くださいね。


祖父や職人さんから受け継いだ技術や知識などを
最大限活かして、サポートさせていただきます。


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群馬県桐生市の工務店
リフォーム・リノベーション専門店
住まいの健康寿命診断士
ふくろうはうす(高橋建装)の高橋でした。


次回は「火災保険の申請から給付までの流れと
火災保険を利用した悪徳訪問業者の手口」
のテーマで準備しています。
楽しみにしてくださると嬉しいです。

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