外壁材の耐久性について話すとき、
「最強」といえばやはりモルタルです。
施工費や材料費はかかりますが、
その分長持ちし、メンテナンスの手間も
最小限で済む点が大きな魅力です。

では、モルタル以外で、
同等に近い性能を求める場合はどうでしょうか。
そこで注目したいのが、
窯業系無塗装サイディング「さんとうばん」です。
大判で目地が少ない「さんとうばん」
「さんとうばん」は、
910mm×3030mm(3尺×10尺)の大判サイズで
厚みは14mmほどの無塗装の窯業系サイディングです。
1枚1枚が大きいため、
繋ぎのための目地が少ないのが特徴のひとつで、
仕上げに塗装を重ねることで、
モルタルに匹敵するほどの耐久性を発揮します。
目地のコーキング部分にも下処理を行い、
厚塗りの塗材で仕上げるため、
伸縮や劣化をしっかりカバーできます。
無塗装品で塗装することが前提のため、
相性の良い下地材や仕上げ材を選ぶことで、
高い耐久性を実現することができます。
30年経過しても健全な状態
初めて「さんとうばん」を現場で採用したのは
1996年でした。
当時は、オートンシールという
耐久性の高いシーリング材を組み合わせ、
塗り壁のように厚塗りで仕上げました。

それから約30年が経ち、
事情により住まれていない期間もあったため、
メンテナンスに伺うことがないままでしたが、
最近になって改修調査のご依頼をいただき、
久しぶりに訪問することになりました。
驚いたのは、その外壁の状態です。
30年間メンテナンスをしていなかったにもかかわらず、
サーモカメラで確認したところ
雨漏りの形跡はありませんでした。
表面的なクラックは見られるものの、
下地への影響はなく、
窓まわりのシーリングを一部補修すれば済む程度でした。
さらに、当時使用したシーリング材は
内部の弾力性が残ったままでしたので、
耐久性の高さが証明された形となりました。
研究されたシーリング材の効果
この耐久性を支えた要因の一つが、
当時メーカーが開発していた新しいシーリング材です。
劣化の主原因となる可塑剤
(かそざい:プラスチックの柔軟剤)を極力減らし、
柔軟性と耐久性の両立を追求したものでした。
施工当時はまだ実験的な要素もありましたが、
「モルタルに匹敵する耐久性を持たせたい」
という思いで選んだ組み合わせが、
30年後に確かな成果を見せてくれたのです。
健康寿命診断としての提案
今回の調査では、
表面クラックの補修と塗装の提案にとどまりました。
下地自体は健全であるため、
大掛かりな張り替えは不要のため、
柔軟性のある浸透(しんとう)型の
下塗り材を用いれば、現状の風合いを損なわずに
再生させることが可能です。
「住まいの健康寿命診断」の結果、
まだまだ活かせる建物であると判断しました。
屋根の状態も良好
併せて調査した屋根は、
当時施工したガルバリウム鋼板でした。

表面の塗装は劣化していましたが、
メッキ層はまだ生きており、
錆止めを施して再塗装すれば
20年以上は延命可能と判断できました。
サッシまわりの防水部材やゴム製のパーツは
交換が必要ですが、建物全体としては、
驚くほど良好な状態を保っていました。
通常であれば30年も経過すると、
外壁の張替えや屋根の葺き替えが
必要になるケースが多いものです。
しかし、適切な材料選定と丁寧な施工を行えば、
建物はこれほどまでに長寿命化できるという実例です。
モルタルが外壁の「最強」であることは
間違いありませんが、次に続く選択肢として
「さんとうばん+塗り壁仕上げ」は
大いに検討に値する方法だといえるでしょう。
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群馬県桐生市の工務店
リフォーム・リノベーション専門店
住まいの健康寿命診断士
ふくろうはうす(高橋建装)の高橋でした。
次回は「ガルバリウム鋼板と金属系サイディングの
耐久性とメンテナンス」のテーマで準備しています。
楽しみにしてくださると嬉しいです。




