40℃の屋根で草鞋(わらじ)が活躍―今も通用する“職人の知恵”


夏の暑さが年々厳しくなる中、
現場で働く職人たちにとっては、毎日が体力勝負です。



特にここ桐生市は、周囲を山に囲まれた地形のせいか、
熱気がこもりやすく、
屋根の上ではまるでフライパンのような環境になることも。



そんな過酷な状況の中で、
どうやって安全に作業を進めているのかを
昔ながらの「草鞋(わらじ)」に見る先人の知恵と、
今の職人たちが取り入れている暑さ対策について、
少しご紹介したいと思います。




熱気がこもる町・桐生市での夏の仕事


桐生市」と聞いて、
あなたはどんな風景を思い浮かべられますか?



実はこの町、四方を山に囲まれた地形で、
さらに川が谷を削ってできた
谷底の盆地”のような場所なんです。



そのため、
風が抜けにくく、夏になると熱気がこもり、
まるで大きな鍋の底にいるような
感覚になることもあります。


そんな土地柄もあって、真夏の現場は過酷そのもの。



7月の始めには、既に、車内の気温が40度に
達していたほどです。




夏の屋根仕事は、まさに体力勝負


この時期は、屋根の葺き替えや塗装など、
どうしても屋外・高所での作業が増えます。



そこで、現場では“サマータイム方式
を採用しています。



お客様がいらっしゃらない事務所や工場などでは、
朝5時半から作業を始め、
正午前には作業を終えるようにしています。



冗談抜きで、屋根の上では
目玉焼きができるんじゃないか」
というくらいの熱さのため、
時間帯をしっかり区切らないと、
命に関わるレベルの暑さなのです。




遮熱靴と、昔ながらの「草鞋(わらじ)」


屋根作業では、今は屋根用の遮熱靴を使っています。



靴底のラバーの間にフェルトのような素材を挟み、
熱を遮断する構造です。



屋根の熱が直に足に伝わらないよう、
工夫された現代の装備です。



ちなみにその前は
草鞋(わらじ)」を使っていた時期もありました。



草鞋(わらじ)は、
藁(わら)で編まれた日本古来の履き物で、
通気性断熱性に優れ、
夏の屋根仕事にも意外なほど役立ってくれました。



草鞋(わらじ)は昔の日本人の暮らしには
欠かせない日用品でした。



旅人行商人は、道中で何足も履き替えるため
草鞋(わらじ)を大量に持ち歩いていました。


そして、農作業山仕事でもよく使われていました。



土に還る自然素材なので、
履き潰せば堆肥にもなり、
まさに「使い捨て」と「循環」の
知恵が詰まった履き物です。




地下足袋+草鞋(わらじ)という職人スタイル


職人の間では、
地下足袋に草鞋(わらじ)を重ねて履くスタイルが、
ひと昔前まで夏の定番でした。



地下足袋は薄いゴム底なので、
屋根の熱を直接感じてしまいます。



そこで、草鞋(わらじ)を上から履くことで
断熱性が加わり、かなり快適になるのです。



地下足袋の指股に
草鞋(わらじ)の鼻緒をかけて固定することで、
ズレることもなく安定感があります。



平場の作業では、夏の間中、
草鞋(わらじ)を履いていた
という職人も少なくありません。



もちろん、足場の上などでは
草鞋(わらじ)は危険なので使いませんが、
暑さ対策としては今もなお見直したい工夫のひとつです。




今も生きる“昔の知恵”


今はケミカル素材の靴に切り替わりましたが、
自然素材の草鞋(わらじ)には、
現代のものにはない優しさ合理性がありました。



今後の現場環境を考える上でも、
昔ながらの知恵から学ぶことは
多いのではないでしょうか。


今年の夏も長くなりそうです。



10月くらいまでは暑さが続きそうなので、
水分補給と工夫を重ねて、
無理なく何とか乗り切っていきたいと思います。



読者のあなたも、しっかりと暑さ対策して、
この夏を乗り越えていただけたらなと思います。



もしよければ草鞋も試していただくのも、
良いかなと思います。


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群馬県桐生市の工務店
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住まいの健康寿命診断士
ふくろうはうす(高橋建装)の高橋でした。



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