前回のコラムでは、
自然との共生をテーマに、
薪ストーブを取り入れた新築のお話を
させていただきました。
薪ストーブの燃料の薪については、
オフシーズンに1年以上かけて、
調達することも、
薪ストーブの楽しみのひとつです。
今日はそんな薪ストーブについて
お話させていただきます。
薪ストーブ設置のための炉台(ろだい)と炉壁(ろへき)
薪ストーブは、それ自体が熱くなり、
輻射(ふくしゃ)熱が家全体に伝わるため、
床や壁への伝導熱に備えて、
レンガやタイルを使って、
炉台(ろだい)や炉壁(ろへき)などを造作します。
この炉台や炉壁が、
部屋のデザインの一部にもなります。
今から20年ほど前、
2004~2005年頃になりますか、
薪ストーブを設置されたお住まいがあり、
リクシル(当時はトステム)の
リフォームコンテストに応募したところ、
全国ランキングで2位をいただいたことが
あります。
このお客様は、
ペレットストーブにするか、薪ストーブにするか、
迷われていました。
お客様は、会社の木材の廃材処分がかかる
と、話されていたため、
それなら、薪ストーブに挑戦してみますか?と
ご提案させていただきました。
その後、定年退職され、
現在は、冬の薪ストーブを楽しむため、
オフシーズンの薪づくりが趣味になったと
おっしゃって、軽トラックも購入されました。
ふくろうはうすで、
薪ストーブを設置されたお住まいが、
新築も含め8軒ありますが、
夏場の薪集めが、仕事と言うか趣味と言うか、
オフシーズンの薪づくりを含めて、
薪ストーブを楽しまれています。
薪の乾燥には寝かせる時間が必要
薪ストーブ用の薪は、
木材を乾燥させるのが鉄則で、
水分を飛ばし、脂分が残っている状態になるまで、
寝かせておく必要があります。
適度な皮付きの丸太の状態で、
あまり小さく割らずに、2~3年寝かせて
良い状態になるのを根気よく待つため、
薪をストックする場所を確保することも大切です。
夏場に、間伐材など生木を切り出したものは、
その年の冬には、水分が多すぎて使えません。
水分を蒸発させるために熱量のほとんどが奪われ、
ストーブの周りに熱が放射されないため、
薪は燃えますが、ストーブ自体が暖まりません。
「薪ストーブが、全然暖まらない」
というお悩みについて、
他社の工務店さんやホームセンターさんから
相談され、そのお客様のお住まいに
伺ったことがあります。
すると、
薪の燃やし方に問題はなし、煙突のつまりもなし、
という状態でしたので、
使った木の種類や乾燥期間を聞いていくと、
直前に手に入れた生木を薪として燃やしている
ことが判明しました。
「生木は2~3年寝かせてから使わないと、
どんなに燃やしても、
薪ストーブが暖まりません。」
とお話させていただくと
お客様は驚かれていました。
例えば、リフォーム時に解体すると、
柱や梁などの廃材が出ますが、
既に木材の水分が飛んでいるため、
薪としてそのまま使うことができます。
但し、脂分も少なくなっているため、
燃え尽きるのが早いです。
広葉樹と針葉樹の乾燥時間の違い
木の種類によって、それぞれ特徴があり、
松は、細胞の中にしっかり脂分を閉じ込めて、
冬越しに備えたり、外敵から守ったりしています。
「松やに」は、松を守る脂分のため、
触ると独特の粘り気がありますが、
3年くらい寝かせることで、
薪として、程よく燃えるようになります。
また、例えば、銀杏(いちょう)は密度が高く、
細胞がぎっしり詰まっているため、
丸太のまま5年くらい寝かさなければならず、
松より更に長期の保存が必要です。
一般的に、
広葉樹は、乾燥させるのに時間がかかるため、
針葉樹より長く置かないと、薪としての機能を
発揮しないという特徴があります。
放置された間伐材を入手して薪を調達
山を所有されている人は、植林した木材を
定期的に枝打ちしたり、間伐したりして、
管理されていますが、
その間伐材が放置されていることがあります。
最近は、人手不足で、間伐材を
山から降ろすのもたいへんで、
そのまま放置されていることが多いからです。
そこで、
放置された間伐材を回収させていただくという
名目で、数名で山に入り、薪の材料として
無料でいただくこともあります。
薪集めは、単純に木材を手に入れるだけでなく、
木材を乾燥させたり、薪割りをしたり、
思っている以上に手間がかかります。
これらを薪ストーブの楽しみの一部として、
苦労と感じない人にとっては、
自然の木材を燃料として使うことができますが、
薪を購入する場合は、灯油を買うよりも、
費用がかかることになります。
お年を召されて、夏場の薪集めが苦になり、
引退された人もおられ、薪ストーブの前に、
石油ファンヒーターを置いて使われています。
私の実家にも薪ストーブがあり、
両親が高齢になってきたため、
薪の調達は私の仕事になっています。
と言っても、
仕事柄、建築廃材がたくさんあるので、
それを薪として使うことが多いのですが…。
ただ、子どもの頃から、薪割りをして、
お風呂を焚いたり、ご飯を炊いたりしていたため、
これらのことが苦にならないし、
薪の燃やし方がわからないお客様には、
どうすればよいか、説明することもできます。
薪ストーブの種類と特徴
薪ストーブの種類は、
鋳物(いもの)か、鉄の厚い板を加工した板金か、
大きくはこの2種類です。
板金ストーブは、厚さが1cmくらいのため、
鋳物のストーブより熱の放散が早いですが、
木の種類を選ぶことなく燃やせるという
特徴があります。
また、鋳物のストーブより、蓄熱が弱く、
乾燥不足の木を燃やすと、なかなか暖まりません。
板金ストーブは、強い火力で熱しても、
ストーブ自体は傷みにくいのですが、
鋳物のストーブは、急激な熱に弱く、
熱割れという現象が起きて、割れてしまいます。
寒いからと一気にガンガン熱して、
熱くなるまで、どんどん火をくべた結果、
鋳物のストーブが壊れたという話を
聞いたことがあります。
鋳物のストーブは本来、じんわり蓄熱してから、
放熱しますが、一気に熱を入れ過ぎると、
蓄熱の限度を超えて、鉄が弾けてしまいます。
鋳物は鉄を鋳型に流し込んで製鉄したものなので、
厚みはありますが、熱の膨張には弱く、
一気に熱することで割れますが、
ゆっくり熱すると蓄熱する力は強いです。
薪ストーブには、様々な特徴がありますので、
設置する際には、使い勝手の良いものを
お選びください。
薪ストーブの設置を計画されている方は、
ふくろうはうすの私、高橋までご相談くださいね。
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ふくろうはうす(高橋建装)の高橋でした。