築100年以上のお住まいには歴史が刻まれていました

昨年2022年の年末に大正時代に建てられたお住まいの
トイレリフォームをさせていただきましたが、
今となってはとても珍しい、模様の入った陶器の便器
据え置かれていて、見入ってしまいました。

 

年が明けてからは、
キッチンについても施工のご相談をいただきました。

 

今回は、そのお住まいの施工事例について
お話させていただきます。

 

こんにちは。
群馬県桐生市の工務店
リフォーム・リノベーション専門店
住まいの健康寿命診断士
ふくろうはうす(高橋建装)の高橋です。

 

築年数100年以上のお住まいには、
相応の歴史が刻まれていました。

 

古い便器と左官職人さんの仕事

汲み取り式の和式トイレから、洋式の水洗トイレへの
交換のご相談をいただき、
お客様のお住まいへ伺ったところ、
築100年ほどのレトロな建物に迎えられました。

 

ご案内いただいたトイレは、
半間(はんげん:約90cm×90cn)の狭い空間で、
床に便器を設置しただけの簡単な造りでした。

 

便器は古い陶器に模様が少し入っていて、
今ではなかなかお目にかかれないような珍しいものでした。

古い陶器に模様が少し入っていて、今ではなかなかお目にかかれないような珍しいトイレ

暗くて寒い、昔のトイレのイメージそのもので、
今までよく我慢されていたな、と思うほどでした。

 

トイレの隣に、一間(いっけん:約181cm×90cm)の
押入れがあったのですが、
その半分をトイレのスペースとして使うことになり
残りの半間(はんげん)を押入れとして残しました。

 

汲み取り式から下水道への切り替えを完了して、
トイレと隣の押入れを解体したのですが、
壁をはがしていくと、
昔の職人さんの落書きが出てきました。

 

当時の壁といえば土壁で、泥を塗って中塗りにして、
漆喰(しっくい)で上塗りされていました。

 

表面の漆喰(しっくい)を剝がして、泥壁の状態にすると、
ひっかき傷のようなものがありました。

土壁は泥を塗って中塗りにして、漆喰(しっくい)で上塗りされていました

よく見ると文字が書かれていて、
100年ほど前の日付村の名前が読み取れました。

 

書かれてある地名の辺りに
代々、職人を引き継がれているお家があるので、
そこに縁(えにし)のある左官職人さんだったのかなと
想像しました。

 

「自分が施工したよ」と名乗られる左官職人さんに
時代を越えてお会いしたような、
建物の歴史を垣間見たという感じでした。

 

この度の仕事は私が引き継いで、
しっかり納めさせていただきますという思いを込めて
壁の補修をさせていただきました。

 

床・壁・天井を剥がした後、配管や電気の工事を行い、
改めて下地を作り、断熱材を入れて、
床・壁・天井を造り替え、電灯を取り付け、
洋式の水洗トイレを設置しました。

 

半間(はんげん)になった隣の押入れも造り直して、
リフォームが完成しました。

和式トイレから洋式の水洗トイレへのリフォームの完成

 

私の若いころの悪戯(いたずら)

実は私も若いころに日付と名前を入れたものを
下地に貼ったことがあります。

 

アルミのテープにボールペンで書くと
数字や文字が凹(へこ)んで跡になるので、
書いたものが消えないのではないかと
高校生の時に思いつきました。

 

そこで、当時、
施工を手伝っていた現場の玄関の内装の下地
日付と名前を書いたアルミのテープを貼りました。

 

下地に貼るため、内装を仕上げると全く見えなくなります。

 

数年前(2020年ころ)に、その現場の玄関の施工を
再度ご依頼いただき、内装をはがしてみると、
高校生の私が書いたアルミのテープが出てきました。

 

当時のことを何となく憶えていたので、
「多分、何か足跡残していますよ」と
事前にお客様にお伝えしていました。

 

すると、懐かしいものが出てきて、
お客様も一緒になって驚かれました。

 

日付は、1984年2月18日、
かれこれ40年ほど前の日付でした。

若いころに日付と名前を入れたものを現場の下地に貼ったことがあります&ふくろうキャラクター(ぷく・ふくお・ふくこ)

若い衆(しゅ)のころの自分に出会ったような感じで、
そのような悪戯(いたずら)をしていたことも
思い出しました。

 

また、下地に隠すだけでなく、
キッチンの勝手口の目立たない場所に
貼らせていただくこともありました。

 

アルミのテープに日付施工内容などを簡単に書き、
名前と電話番号も書いておきます。

 

お客様は、普段はテープの存在を忘れて
生活をされていますが、不具合が起きた時に、
テープが貼られていることを思い出して、
電話して来られることがあります。

 

土間キッチンからのリフォーム

大正時代のレトロなお住まいのお客様から、
トイレに引き続き、キッチンのリフォームについて
ご相談をいただきました。

 

建てられた当時の土間キッチンのままで、
コンクリートで固められていない土の土間でした。

 

さすがに当時の流し台や竈(かまど)は撤去されて、
現在のキッチンが設置されてはいましたが、
昔のビール瓶のケースを高さがありすぎるからと、
ハーフカットして土の土間に並べ、板を敷き、
その上にキッチンを乗せただけの状態でした。

 

全体的には収納量が不足している様子で、
ごちゃごちゃしている印象でした。

 

窓は木製のガラス窓で、
隙間風が容赦なく入ってくるため、
冬場の底冷えは厳しいものでした。

木製のガラス窓は、隙間風が容赦なく入ってくるため、
冬場の底冷えは厳しいものです

そこで、土間の上に改めて床を造り、
床下には断熱材を入れました。

 

外壁に面していて、キッチンを設置する場所にも
内側から断熱材を入れ、
窓はペアガラスにして、断熱サッシにしました。

 

キッチンはネズミにかじられていたので、
丸ごと交換しましたが、システムキッチンではなく、
セクショナルという組み合わせのタイプです。

 

システムキッチンより、高さや幅が小さめなので、
コンパクトに収めることができました。

 

換気扇がなかったため、今回の工事で設置し、
換気扇周りにも断熱材を入れました。

 

サッシや換気扇に冷気が下がってくるため、
その部分だけでも気密、断熱化すると快適になります。

 

レトロなお住まいの中で、キッチンとトイレだけが
近代化されましたが、先日お客様にお会いしたら、
「何か忘れ物をしたみたいに暖かい」と言われました。

 

「やってよかった」という声をいただき、
ありがたく、嬉しい気持ちでいっぱいになりました。

 

こうやって直接お客様から感謝されたり、
歴史を感じたり、勉強になったりというのは、
直接現場に足を踏み入れることで体験できるものなので、
いまだにやっぱり現場が好きだなと感じます。

 

もし、読者の中で、現場監督や大工さんへの就職を
希望されている方がいましたら、
ふくろうはうすで働いてみませんか?

 

ふくろうはうすでは、お客様の現場を通して、
学ぶことが出来ますよ。

 

モノづくりに興味のある方、
技術を身につけて建築の仕事をしてみたい方、
既に建築の現場を経験され現場が好きな方、
メッセージより「ふくろうはうすで働いてみたい」
とお知らせください。

 

アットホームな環境で、
少しずつ、ふくろうはうすの仕事に慣れていただき、
後継者候補になりたい方には、私の経験など、
そっくりお伝えしていくつもりです。

 

また、現場のご経験のある方には、即戦力として
ご活躍いただきたいと思っております。

 

ふくろうはうすの一員になりたいという方、
仕事に興味のある方は、是非ご応募ください。

ご応募はこちら

 

また、リノベーションをご計画のお客様は、
オープンハウス「ふくろうはうす 暮らしの見学会」に
お越しください。

 

私たちが実際に暮らしている家から、
暮らしのヒント気づきなど、
受け取ってお持ち帰りいただけたら幸いです。

 

次回は「洗面脱衣室は洗濯室&物干しスペース」
のテーマで準備しています。
楽しみにしてくださると嬉しいです。

 

Spread the love
上部へスクロール