こんにちは。
リフォーム・リノベーション専門店
ふくろうはうすの高橋です。
リフォーム・リノベーション後の不具合について
「住まいの健康寿命診断士」の視点から解説して
きましたが、今回は、3事例目の解説になります。
これまで解説させていただいた記事はこちらから
ご覧いただけます。
1事例目、2事例目は、主に施工方法によって
引き起こされた不具合についての解説をしました。
今回は、外壁の塗り替えの時に使われる塗料に
よる不具合についてお話します。
突然ですが、ここで質問です。
あなたは、オールマイティに使えるものは
好きですか?
「オールマイティって、あれもこれも兼ねるから
ひとつあればいい」といった便利な感じがあって
使いやすい印象がありますね。
塗装の現場でも、「万能型(=オールマイティ)」
と言われる塗料が多く利用されています。
しかし「万能型」とは言っても、弱点はあります。
ほとんどの素材に対して使えますが、中には
塗り替えをしたのに、塗り替える前よりも
外壁が荒れた状態になってしまったという
事例があります。
今回、その事例について紹介していきたいと思います。
事例3:下地に合わない塗料
相談内容
お客様は18年前にハウスメーカーに依頼して
家を建てたそうです。
特に問題もなく、18年が経過したのですが
一度も外壁の塗り替えをしていませんでした。
それなりの年数を重ねてきたため、最近になって
「メンテナンスが必要なのではないか」と思い立ち
家を建ててもらったハウスメーカーに
外壁の塗り替えをお願いしたそうです。
塗り替えた直後、外壁は見違えるほど綺麗に
仕上がって、気持ちがよかったのですが、
しばらくしてから、壁の表面が膨らんできました。
メンテナンスを済ませたばかりだけど
「壁が膨らむのは何故なのか?
このまま放置していいのか?」と
お客様は疑問をお持ちになったそうです。
住まいの健康寿命診断の概要
お客様のお住まいを訪問すると、
外壁の下地材はモルタルで、塗料を吹き付けて
仕上げられたものでした(モルタル下地の外壁)。
モルタルは、セメントと砂と水を混ぜ合わせた
素材のことを言います。
モルタル素材で作られた外壁の表面を塗装して
防水性を持たせたのが、モルタル下地の外壁です。
その外壁の表面に、塗って間もない塗料が
塗られている状態でした。
外壁を塗り替えてからの異変に
お客様がお気づきになった通り
塗装表面に膨らみがありました。
特に日の当たりやすい部分の膨らみが
進んでいるようでした。
これらの症状から、
下地の素材に塗料が合っていないため、
塗装表面に膨らみがでる不具合が発生した
可能性が考えられます。
下地に合わない塗料を使った施工の原因と不具合の対処法
使われていたのは「万能型」と言われる塗料で、
あらゆる種類の外壁の素材で使うことができて、
下塗り、上塗りを兼用できるというタイプのもの
でした。
塗料メーカーにコンタクトを取り、調査すると
この事例のモルタル下地の外壁とは
全く相性の合わない塗料であることが
判明しました。
塗装には、下塗り、中塗り、上塗りという
工程があり、それぞれの段階専用の塗料が
あります。
外壁の下地の素材と仕上げ用(上塗り)の塗料が
密着するように、仲立ちをして、接着剤のような
役目をするのが下塗り、中塗り塗料です。
外壁には雨や風、外気、紫外線などから
家の内部を守るという大切な役割があります。
また、外壁に塗料を塗って、防水性を高めることで、
建物の骨組みや構造体を保護することができます。
お家を長持ちさせるためには、
外壁の下地となる素材と相性のいい塗料を選んで、
下塗り、中塗り、上塗りと手順を踏んで
塗り重ねることが大切です。
しかし、今回の事例のように、塗り替えをしても
下地と塗料が密着できていない状態では
建物の骨組みや構造体を保護することができません。
塗り替えたばかりでしたが、壁全面の塗料をすべて
剥がして、外壁を一度、素地の状態まで戻し、
改めて、下塗り、中塗り、上塗りと塗り直していく
必要がありました。
塗料選び、塗装を依頼する施工業者選びのポイント
最近は、DIYでお客様が自分でモノづくりを
楽しんだり、修繕をしたりということが流行って
います。
そのため、時々、お客様から塗料のことを知りたいと
質問されることがあります。
ホームセンターなどの塗料売り場には、
たくさんの種類がズラッと並んでいて
どのように選んだら良いか、
わからなくて困ってしまうようです。
そこで、お客様に、何の素材を使って、
どのような仕上がりにしたいのかなど、お聞きして、
塗料の選び方のアドバイスをしています。
このようにDIYが趣味ですと言っても、
一般の方にとっては、塗料選びは難しかったりします。
実は、プロであるはずの建築会社でも、残念ながら
間違った塗料選びをしてしまったり、
職人の知識不足、技術不足で、
必要な工程が抜けた施工をしてしまっているという
ケースがあるのが現実です。
「万能型塗料」は、
下塗り塗料と上塗り塗料(仕上げ塗料)
の両方の機能を併せ持っているため、
塗り重ねる工程を省くことができるので、
コストダウンにもつながり、重宝されます。
ただ、オールマイティに使える仕様になっている分
下地の素材に適した専門塗料に比べると、
保護力が劣りますし、素材に馴染みにくい性質も
あります。
コストや施工の手間を優先した、
安易な塗料選びは、思いがけないところで
不具合に繋がってしまうことがあるので
注意が必要です。
外壁は人に例えると肌や髪の毛、爪などに当たり、
塗料は抗炎症作用や保湿作用を持つ薬になります。
肌荒れを治したくて、病院に行ったのに
処方された薬が自分の肌には合わず、
以前の状態より更に荒れてしまったら、
元も子もないですよね。
自分のことをよく知ってくれていて
信頼できる「かかりつけ医」がいてくれると
何でも相談に乗ってもらえる安心感があります。
あなたのお住まいにも
信頼できる「かかりつけ医」のように
何でも相談に乗ってもらえる存在があれば
安心ですよね。
この私、高橋は
まさに、住まいのかかりつけ医であり
「住まいの健康寿命診断士」として活動しておりますので、
お住まいの診断を希望される方は
お気軽にご相談ください。
今回の記事では、
塗装について解説させていただきましたが
DIYを趣味にされている方にとっても参考になれば嬉しいです。
◆ 予 告 !?
次回は4つ目の事例
「ウッドデッキ設置後カビが大量発生」
について解説しますので、
読んでくださると嬉しいです。