前回、老舗温泉旅館「梨木館(なしぎかん)」さんの
リニューアルのお手伝いをさせていただいた時の
お話をさせていただきました。
既に10年以上前の話になりますので、
私が施工させていただいた後も、
様々な変化を遂げられていることと思います。
少し昔の思い出話として、お付き合いください。
前回は、別館から眺めることのできる
見事な風景を楽しむため露天風呂を造る
というところまでお話させていただきましたが、
今日は、その続きをお話させていただきます。
自然と一体化できる別館「はせを亭」の露天風呂
見渡す限り森の広がる山の中の一軒宿で、
お客様に心ゆくまで自然を満喫していただくため、
露天風呂を設けました。
![](https://fukurouhouse.jp/wp-content/uploads/2024/05/28159903_s.jpg)
別館は屋根の軒が長く、
部屋には大きな掃き出し窓があるため、
掃き出し窓からデッキを延長して露天風呂を造れば、
増築する手間も暇もかかりませんでした。
隣の部屋との間仕切りは、
雰囲気を損なわないよう木の板を使って
衝立(ついたて)風に造りました。
別館は各部屋すべてが、大きな掃き出し窓から、
沢谷やモミジが見えるオープンな造りでした。
まずは、別館の最も奥に位置する最高級の部屋に
最初の露天風呂を造りました。
山の清水を引いた水質のよい源泉を
別館専用のボイラーを使って
沸かしていましたので、そのまま
露天風呂にも供給しました。
別館の一番奥の露天風呂が完成して、
新聞社の広告で宣伝を行ったところ、
ご覧になった人たちから、
こんなに雰囲気のよい隠れ宿があったのか、
と注目され始めました。
芸能人や著名人が、自然の中に身を置くため、
または、大企業の社長が家族を連れてひっそりと
来訪されるようになりました。
その後、別館にある他の部屋も、
自然に溶け込んだ雰囲気をそのまま生かすために、
敢えて、露天風呂に川石を使うなど、
部屋ごとに少しずつ風情の違いが出せるよう
提案や工夫をしました。
![](https://fukurouhouse.jp/wp-content/uploads/2024/05/29512729_s.jpg)
別館には手前に2階建ての建物があり、
1階、2階とも小さめの部屋が3部屋ずつ、
合計6部屋ありましたが、
家族で長期滞在を楽しめるように、
3部屋をぶち抜き1部屋に造り替え、
広々と使えるようにしました。
1階と2階にそれぞれ1部屋ずつの
ゆとりのある広い部屋が出来上がりました。
建物の両側に庭があり、表の庭には池があって、
値打ちものの錦鯉が悠々と泳いでいました。
また、裏庭はそれまで使われていませんでしたが、
裏庭を眺めながらお風呂に浸かる露天風呂を造り、
1階の部屋のメインとしました。
2階の部屋は、少し趣を変えて、
カラオケルーム兼シアタールームを作り、
ビールサーバーを置いて、
ゆっくり滞在して楽しめる仕掛けを作りました。
心置きなく、映画を楽しみ、カラオケができるよう、
防音壁を作って完全に仕切り、防音室にしましたが、
のちのち間仕切りを撤去できるような工夫をしました。
こうして、梨木館「はせを亭」の6部屋の
リニューアルが完成しました。
景色を眺める掘りごたつと選べる桐生織浴衣
梨木館「はせを亭」のリニューアル完成後に、
本館のリニューアルに取り掛かりました。
昔は団体客で賑わっていたそうで、
小さめの部屋がたくさんありましたが、
今後は個人のお客様向けにシフトして
リニューアルするという計画でした。
そこで、2部屋をぶち抜いて1部屋にするため、
旅館全体の強度計算を行い、施工方法を考えました。
温泉旅館でよく見かけるのが、
窓際にテーブルとソファのセットがあり、
そこから外の景色を眺められるというものです。
![](https://fukurouhouse.jp/wp-content/uploads/2024/05/113-1024x683.png)
そこで、外の景色を眺められるように
窓際にテーブルとソファではなく、
掘りごたつを置き、半露天風呂も設置し、
くつろぎながら、お風呂に入りながら、
自然を満喫できるようにしました。
本館は3階建てでしたので、
2階と3階のそれぞれの角部屋を
半露天風呂付き客室として、
露天風呂を設置しました。
また、床から段差をつけて
高い位置から景色を眺められるように
小さめの掘りごたつを設置しました。
他には、押入れを改造して、
ガラスのショーケースにして、ガラス扉をつけ、
畳んだ浴衣を数枚、ガラスの棚にのせ、
中から照明を当てて、浴衣ケースを作りました。
桐生織の最上級の浴衣を何枚かディスプレイし、
お客様に、お好きな浴衣を
選んでいただけるようにしました。
![](https://fukurouhouse.jp/wp-content/uploads/2024/05/3772086_s.jpg)
照明の色を自由に変化させられる本館の半露天風呂
半露天風呂つきの客室は、
ただ半露天風呂に入るだけでなく、
何か特別な演出はできないかということで
知恵を絞りました。
そして、それぞれの部屋によって、
露天風呂の大きさや素材は違いますが、
浴槽に埋め込んだ電球を使って、
お風呂の照明の色が変わる演出を行いました。
お風呂の浴槽に電球を埋め込むための
ガラスの容器に3原色(赤、黄、青)の
電球を入れました。
当時は、まだ、LED電球がなかったころで、
光をどのように合成しようかと
いろいろ考えましたが、最終的には、
色電球を使って手作りしました。
電球用のスイッチを設置し、
部屋で操作できるリモコンも作って、
手元で露天風呂の照明の色を
自由に変化させることができるようにしました。
![](https://fukurouhouse.jp/wp-content/uploads/2024/05/28469415_s.jpg)
子どもの頃からの好奇心を思い出しながら、
浴衣用のガラスのショーケースや
露天風呂の照明やリモコンを
造らせていただきました。
半露天風呂付き客室を1部屋完成させるたび、
「宿泊第1号として、お客様の立場で
3日間宿泊してください」と言われました。
自分で作った照明やリモコンを実際に試しました。
リモコンが不具合を起こしてはいけないので、
何十回も何パターンもテストしました。
また、部屋の出来栄えや雰囲気が
コンセプト通りになっているのか、
五感で感じてみましたが、
狙い通りのものが出来たと自負しました。
梨木館(なしぎかん)さんの老舗温泉旅館の
リニューアルの話はここまでです。
日常生活の喧騒(けんそう)に疲れたら、
山に囲まれた梨木館(なしぎかん)さんを訪れ、
自然の癒しに包まれてみませんか?
国の補助金・桐生市の住宅リフォーム補助金の活用サポートはこちら
「ふくろうはうすの住まいるライフ」(FM桐生毎週水曜日12:40分~)はこちら
YouTube チャンネル「ふくろうはうすの住まいるライフ」はこちら
群馬県桐生市の工務店
リフォーム・リノベーション専門店
住まいの健康寿命診断士
ふくろうはうす(高橋建装)の高橋でした。
次回は「両親から息子さん夫婦へ引き継がれるお住まいへの想い&
『健康長寿リノベーション』と急病後の療養生活」のテーマで準備しています。
楽しみにしてくださると嬉しいです。