おはようございます。
こんにちは。
リフォーム・リノベーション専門店
ふくろうはうすの高橋です。
前回のコラムでは「純木造建築高層ビル」について
私的な見解を交えてお話しました。
今回は、一般住宅の家づくりについて
昔ながらの木造建築をテーマにお話します。
創業92年、祖父の代から続く家づくり
私は祖父の代から住宅建築に携わる職人の家で
生まれ育ちました。
幼い頃から、祖父や父に連れられて、
建築現場やお客様の家を訪ねるのが楽しみでした。
夏休みに、現場でお手伝いをしていると、
お客様から「小さいのにえらいね。」と
お声掛けをいただいたり、お菓子をいただいたりして、
嬉しかったことを覚えています。
祖父と父は、塗装や左官、大工仕事などを手掛ける職人で、
曽祖父は宮大工でした。
また、親戚も建築に関する様々な分野の職人ばかりでした。
そんな環境で育った私にとって、
ものづくりや住宅建築は子供の頃から身近な存在でした。
ものづくりで人の役に立てることが嬉しくて
高校に進学してからは、学校が休みになると
建築現場で職人のアルバイトをしていました。
家づくりの伝統工法の技術や考え方などを
じかに見て、触れて、お話を聞いて
多くのことを学ばせていただきました。
おかげさまで私自身も、職人気質を受け継いだようで、
現場での作業が楽しくてたまらなく
今現在も現場が好きで率先して働いています。
高校卒業後は、
職人として本格的に仕事を始めました。
様々な新築やリフォーム・リノベーションの現場で
伝統的な木造軸組工法からツーバイフォー住宅、
鉄筋コンクリート造、重量鉄骨造、軽量鉄骨造まで、
あらゆる建築方法の施工に携わってきました。
たくさんの住宅に触れてきた経験が現在、
「住まいの健康寿命診断士」としての
目利きの土台になっています。
五感で造られる日本の伝統工法
私が子どもの頃から見てきた伝統工法の家づくりは、
柱や梁に使う木材を大工が自分の工場で保管して
加工していました。
大工の経験と勘を活かして、木材を加工して穴を開けてから
現場に運び、金物を使わずに組み立てるのが一般的でした。
当時は重機や機械がなく、職人の技術と力量によって
ひとつひとつの工程を丁寧に仕上げて完成させていくのが
木造建築の醍醐味でもありました。
少ない道具を創意工夫して使うのが腕の見せ所で
普段使いの叩きノミなどは、長さ7~8cmほどあった刃先が
1~2cmになるまで研いで、大切に使い込まれていました。
祖父や父をはじめ、職人の先輩方が、
手入れの行き届いた道具をまるで自分の手足のように使いこなし、
ひと工程、ひと工程、手作業で丁寧に造り上げていく姿が、
とても印象に残っています。
家づくりは、大工だけでなく、左官、塗装、板金など
いろいろな職人の技術が必要になるのですが
祖父も父も、塗装だけでなく、大工、左官、板金なども兼ねて
多能工的に仕事をしていました。
多能工とは、一人で複数の作業をこなせる職人のことで、
多くの技能を持つ職人です。
いろいろな職種を関連づけて技術を覚えると
建築現場全体を見られるようになり
効率よく施工工程を順調に進めることが出来るようになります。
地震から家を守る、制振装置MAK-1(マックワン)
木造建築は土台から屋根まで
木材のバランスを取りながら
家を完成させていきますが、
このような技術は地震に強い建築を可能とします。
金物に頼らず、木材の粘りで
揺れを吸収したり逃がしたりする制振技術は、まさに職人技です。
「ふくろうはうす」では
朝日建設株式会社が開発したMAK-1(マックワン)という
制振装置を取り扱っています。
前回のコラムでは、五重塔は制振の仕組みを使って
揺れを吸収しているとお話しましたが、
五重塔の原理を活かして、
制振の技術をそのまま詰め込んでいるのが
MAK-1(マックワン)という制震装置です。
地震の揺れを吸収し、
建物の倒壊や家具の倒壊を防ぐ制振装置で、
低コストで取り付けることが出来、メンテナンスも不要、
さらに半永久的に効果を持続することができます。
ご縁があり、現在MAK-1(マックワン)で
制振の施工をさせていただいている現場があります。
この現場の施主さんが
昔、大工で棟梁(とうりょう)もされていたという
90歳過ぎのお客様で、
「高橋さん、耐震の施工方法は本当に正解なのかね?」
と尋ねられました。
地震には金物でガッチリと固めてしまう耐震の施工より
木材の粘りでバランスを取る制振の施工の方が有効と考えていた私は
「耐震の施工には疑問視するところがあります。」
とお応えしました。
木材に柔軟性を持たせ、地震の揺れを吸収する
昔ながらの木造建築の伝統工法は理に適っていると意見が合い、
楽しい時間を過ごさせていただきました。
「では、制振の考え方で、この家を施工する方法はあるかな?」
というお話になり、提案させていただいたのが
MAK-1(マックワン)を使った制振の施工方法です。
制振の施工についての理論的なことや
「住まいの健康寿命診断」を行ったあとの
建物のバランスのとり方などを体系立ててお話しましたが、
ご家族の中で一番納得して喜んでくださったのが
90歳過ぎの元棟梁のお客様でした。
「昔ながらの伝統工法をやっている人に(施工を)やってもらいたい」
というお言葉をいただき、私自身とても嬉しかったですし、
ふくろうチームの若い職人にも
昔の棟梁(とうりょう)に認められたのだということが
響いたようでした。
微力ながら、昔の棟梁(とうりょう)の仕事の仕方、
職人としてのあり方を再現させていきたいと思っています。
そして、木造建築の奥深い技術や理論をできるだけ
後世に引き継いでいきたいと考えています。
あなたも誰かに引き継いでいただきたいものはあるでしょうか?
ここまで読んで頂いたあなたにも、
何か伝わるものがあれば嬉しいです。
そしていつも、お読みくださり、ありがとうございます。
住まいの「耐震性(制振性)は大丈夫だろうか?」
と気になった方や
制振装置MAK-1(マックワン)について
もっと詳しく知りたい方は
「住まいの健康寿命診断士」の私、高橋まで
お気軽にご相談ください。
フォーム・リノベーションの計画をされている方、
お住まいのお悩みをお持ちの方なども、
お気軽にお問い合わせくださいね。
次回は「『住宅診断』で問題の原因を見極めます!
リフォーム・リノベーションで住まいのお悩みを解決!」
というテーマについてお話していきたいと思います。
楽しみにしていただけると嬉しいです♪