炭の持つ遠赤外線効果と蓄熱効果を利用して床下から室内環境を整える


前回のコラムでは、
断熱材の施工方法の工夫の違いで、
数年後に室内環境に差が出てくるという
お話をさせていただきました。



ハウスメーカーさんが高気密高断熱住宅
前面に押し出し始めた20年ほど前に
ふくろうはうすで新築を手掛けたことがあり、
断熱材の工夫とは別に、床下を敷いて
断熱効果を高めた事例があります。



今回は、炭の持つ遠赤外線効果蓄熱効果
についてお話させていただきます。




炭の持つ効果を発揮させるにはある程度の容積が必要


当時から、断熱材を使う時は、
グラスウールロックウール
特性の違いを生かして、
リフォーム時に、二重使い
施工を行っていました。



この方法は、新築で使っても、
効果は抜群だろうと思っていました。



また、
断熱効果を高めるための工夫のひとつとして、
の持つ効果にも着目していました。



ひと言で炭と言っても、様々な種類がありますが、
住宅の床下に敷いて使うのは、
備長炭などの木炭竹炭などです。



炭には、調湿と臭いの吸着の効果があるため、
床下に敷いて、湿気対策として
今まで、多くの現場で使ってきました。



湿気対策の場合は、
床下に薄く敷けば効果がありますが、
炭の持つ遠赤外線効果蓄熱効果
発揮させるためには、
ある程度の容積が必要です。



今回、手掛けた新築では、
コンクリートのベタ基礎の上に、
6~10cmくらいの厚みまで、
炭を敷き詰めることができたため、
その高い効果を体感することになりました。



断熱材の施工と同時に行うことで、
断熱の相乗効果を得られます。




大量の炭は工場で出る消し炭を有効利用


断熱材として炭を使うためには
ある程度の量が必要ですが、
新築の打ち合わせをしている中で、
お客様が、産業廃棄物処理業に
携わる仕事をされていて、
大量に余った消し炭を工夫できないか、
という話題が上がったことが
無料で炭を利用する発端になりました。



柱や梁(はり)など建築廃材を燃やす工場があり、
その燃え残りのが大量に出るそうで、
スカスカになって、軽く柔らかくなりますが、
遠赤効果と蓄熱効果は変わらないという
確証がありました。



また、木材を燃やしたものが、最終的に
消し炭となって残りますが、
体に害のある化学物質などは検出されません。



そこで、
お客様に断熱効果についてお話すると
実験的にやってみようと、意見がまとまり、
床下に炭を敷き詰めることになりました。



基礎が出来上がり、骨組み、柱を組んだ状態で、
炭を運んで敷き詰めてから、床を造りました。



施工から20年ほど経ち、
定期点検で、時々お伺いしますが、
真冬の時期でも、室内は暖かく感じられます。



お客様も「未だに暖かくて過ごしやすい」
とおっしゃっています。



全館冷暖房をされていますが、
エアコン1台を稼働して、部屋の中が暖まると
なかなか冷めにくいそうです。



一旦切っても、暖かさが長く続くため、
暖房費は、2割ほど安くなったとのことです。




竹の炭を大量入手した事例


別件で、
新築時に床下に炭を敷き詰めた事例があり、
このお客様のお住まいも築17年ほど
経っています。



ご主人のご実家が炭焼きの産地で、
今は少なくなったけど、
昔は、ご実家の周りに炭焼きをされているお家が
たくさんあったそうで、
炭焼きをされている最後の1軒の方から、
炭の効果についてのお話を
ご主人は以前から聞かれていたそうです。



私も、床下の炭の蓄熱効果について
お話していたため、
ご主人が竹の炭を入手して下さり、
ベタ基礎の上にふんだんに使うことができました。



ちなみに、布基礎の土でも効果はあり、
土の上でも、小石の上でも、
炭を敷き詰めることで、
保温効果は、かなり高まります。



床下からの冷気の遮断調湿効果のうえに
遠赤外線も出る炭の効果は抜群です。



先日、真冬日と言われる寒い日に伺うと、
暖房を一度つけてから切ったとのことでしたが、
家の中は暖かくて快適でした。



炭自体に吸放出特性があり、
特に、湿気を溜めてゆっくり放出するため、
吸湿することで周りの温度を急激に下げない
という効果があります。



温度と湿度の特性で、
相対湿度が上がると、見かけ上の温度が上がり
体感温度が上がるという特性があります。



つまり、床下の温度が外気温よりも上がり、
輻射(ふくしゃ)熱となって伝熱していくため、
床自体が冷めにくくなるわけです。



木材は切られた後も、
水分の吸放出を行いますが、
になってからも半永久的に行われます。



木材の恩恵を十分に受けられる工夫のひとつに、
このように炭を床下に敷き詰める方法があります。



一度、敷き詰めると、
床下に相当なダメージを受けない限り、
炭の交換の必要はなく、効果も長く続きます。




効果の不確かな建材が出回っていますが…


炭の保温効果が認められたころ、
炭の恩恵を少しでも活用しようと、
炭を液体にして塗るための
墨汁のようなものが出てきて、
数年ほど、流行った時期もありました。



基礎全体を
炭の液体でコーティングするイメージで、
通常グレーのコンクリートが
真っ黒になります。



液体になって薄められ、
多少、調湿効果や臭いの吸収効果は
あるかもしれませんが、
実際に、施工した人の話によると、
「施工してもしなくても、あまり変わらない」
とのことでした。



今時の機能性クロスで、
例えば、珪藻土入りクロスや
臭いを吸着する調湿クロスなども
同様と言えます。



漆喰を塗って仕上げるためには、
下塗り、中塗り、上塗りと塗り重ねていき、
結構な厚みをつけていきます。



その充分な厚みの層によって、
吸放出特性が生まれるため、
漆喰がほんの少し入った状態で、
製品化されたクロスに、
漆喰塗りと同等の効果は期待できません。



多少、体感できるかできないか、微妙なところで
その効果を謳っていいものかどうか、
疑問に感じることもあります。



当時に限らず、
そのような建材がたくさん出回っていますが、
実証実験されたわけでもなく、
効果の程はいかに、というところです。



新築やリフォーム・リノベーションの予定のある方は、
ふくろうはうすの私、高橋までご相談ください。


高橋俊博のおうちSOS はこちら

外壁・屋根 メンテナンス診断 はこちら

暮らしのリフォーム見学会 はこちら

現場監督・大工 求人募集 はこちら

国の補助金・桐生市の住宅リフォーム補助金の活用サポートはこちら

「ふくろうはうすの住まいるライフ」(FM桐生毎週水曜日12:40分~)はこちら

YouTube チャンネル「ふくろうはうすの住まいるライフ」はこちら



群馬県桐生市の工務店
リフォーム・リノベーション専門店
住まいの健康寿命診断士
ふくろうはうす(高橋建装)の高橋でした。



次回は「【新築】K様邸からのメッセージ『住まいづくりには完成はなく、
暮らしながら常に変化させていくもの』」のテーマで準備しています。
楽しみにしてくださると嬉しいです。

Spread the love
上部へスクロール