高気密高断熱の住宅なのに「お家が寒い」と感じる施工上の問題点


2000年の建築基準法改正で、
断熱など室内環境が重要視され、
高気密高断熱の住宅が
建てられるようになりました。



また、2000年頃には、
断熱材性能も上がってきたため、
外気温の影響を受けにくくなり、
室内で過ごしやすくなりました。



ところが、この頃に建てられ、
ちょうど築20年ほどのお住まいの
リフォーム・リノベーションのご相談で
家が寒い」というお悩みを
お聞きすることがあります。



断熱材は入っているのに、
十分な効果が発揮されていないという
お住まいが、実は、かなり多いです。



今回は、そんな断熱材についての
お話をさせていただきます。




断熱材を使っているのに十分な効果が発揮されない理由


断熱材としてよく使われているものに
グラスウールがありますが、
2000年前後には、
しっかりジョイントできるよう、
重ねしろのあるものが、
パッケージ化されるようになりました。



セオリー通りに施工すれば
十分な断熱効果を発揮するはずですが、
残念ながら、
正しく施工されていないケースを
よく見かけます。



断熱材をただ押し込めばよい
というものではありません。



ただ押し込んだだけの断熱材は、
施工当初は良い状態であっても、
だんだん空気を含んで膨らんで、
時間が経つにつれ妙な隙間ができ、
家が寒いと感じる原因になっています。



あるいは、外回りの壁には
断熱材をしっかり施工したけど、
お家の内部の間仕切り壁対策
全くしていないという事例もあります。



床下からの冷たい空気が
お家の中の間仕切り壁の間を通って
天井に抜けるため、
お家の中は寒いという状態です。



間仕切り壁の通気止めは簡単で、
ふさぎ板一つで解決します。



このような工夫をするかしないかで、
室内環境が全く違ってきます。



部屋の間仕切りに
1~2箇所の不備があるだけで、
お家全体の温度が下がります。



あともうひと工夫すれば快適だったのに、、、
という残念なお家を結構見てきました。



せっかく高性能断熱材を入れたのに、
少しの手間を惜しんだり、
理解力の不足から、これでいいだろうという
おざなりの施工で済ませていることで、
結果的に、暑くて寒い家になってしまっています。




グラスウールの特徴と内部結露


クラスウールガラス繊維でできた断熱材で、
あまりにも低密度のものは、
少しずつ縮んでしまうこともありますが、
ある程度の密度を持つものだと、
築20年を越えても全く縮んでいません。



築25年くらいのお住まいのリノベーションを
させていただいた時に、
実際に、グラスウールの状態を確認し、
実感しています。



中には、高性能グラスウール
使った事例もありましたが、
そこまで高性能のものを使う必要はない
と思われます。



というのは、
高密度のグラスウールは、
施工の仕方によっては、
湿気を帯びてしまうからです。



断熱材は空気を含むことで、
熱を蓄熱遮断するため、
ある程度の密度を保つことで、
熱の吸放出のバランスが整いますが、
密度を上げすぎると、
繊維に湿気が絡んでしまうという弱点があります。



室内を高気密高断熱化することで、
密閉性があるため、
室内外の温度差が発生しやすくなります。



すると、室内の湿気は、室外へと向かうため、
グラスウールを保護するための
防湿気密シートなどを使用して、
完全に湿気を遮断しないと
クラスウールに湿気が移行します。



一度繊維の中に蓄えた湿気は、
グラスウールの場合、なかなか抜けにくく、
これが内部結露の原因になります。



高性能のグラスウールを使うのが
悪いというわけではありませんが、
室内の湿気対策を充分にしておかないと
グラスウールのせっかくの性能が半減し
かえって逆効果になります。




内部結露は知らず気づかぬうちにお住まいの寿命を縮める


築10年ほどのお住まいですが、
高性能のグラスウールに
湿気が多く含まれてしまった事例があり、
補修工事をさせていただいたことがあります。



この場合、
現状のグラスウールを取り除いて、
新しいものと交換するしかないため、
グラスウールを取り除いて、
防湿気密シートを貼りなおし、
ロックウールに置き換えました。



ロックウールは鉱物由来の素材のため、
湿気に強く、防音性にも優れています。



基本的に撤去しなければ、
断熱材の交換ができないため、
築10年ほどにも拘らず、
大がかりな工事になりました。



また、このお住まいには、
他にも、厄介問題がありました。



屋根と天井の隙間がとても狭く、
そこには、セルロースファイバーという
新聞紙を粉砕したような断熱材
敷きつめられていました。



こちらもまた、一部の防湿フィルム不備で、
そこから湿気がどんどん入り込み、
天井裏のセルロースファイバーが
湿気を帯びて、カビだらけという
悲惨な状況になっていました。



この状況に気付かず、放置したままだと、
おそらく、構造にまで、湿気の被害が
及んでいたと思われます。



内部結露ほど恐ろしいものはなく、
見えないところで腐食が発生し、
広がっていきます。



例えば、今回のお住まいでは、
天井と屋根に湿気がかなり溜まって、
黒カビがかなり発生していたので、
あと5~6年経てば、
雨漏りが始まるレベルでした。



本来、絶対あってはならないことですが、
内部結露のほとんどが、
施工上のミスか、施工上の工夫が足りなかった
という理由です。



お住まいを高性能化するための断熱材ですが、
適切な施工を行わないと、
かえって、お住まいの寿命を縮めるため、
施工店選びは慎重にしてくださいね。



新築やリフォーム・リノベーションの予定のある方は、
ふくろうはうすの私、高橋までご相談ください。


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群馬県桐生市の工務店
リフォーム・リノベーション専門店
住まいの健康寿命診断士
ふくろうはうす(高橋建装)の高橋でした。



次回は「炭の持つ遠赤外線効果と蓄熱効果を利用して
床下から室内環境を整える」のテーマで準備しています。
楽しみにしてくださると嬉しいです。

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