私の菩提寺でもある西極(さいごく)寺さんに、
新たな祈りの場として、永代供養塔
「俱会一処(くえいっしょ)」が完成しました。

この塔の建立には、
時代の変化に寄り添いながらも、
「お寺が人々の拠り所でありたい」
というご住職の変わらぬ思いが
込められています。
ご住職から建立についてのご相談をいただき、
永代供養塔とその周辺の施工について
ふくろうはうすに、ご依頼をいただきました。
地域に開かれた“現代の寺子屋”を目指して
昔、お寺は地域の中心にあり、
人々が自然と集う場所でした。
お年寄りが昔話を語り、
子どもたちは倫理感や思いやりを学ぶ場として、
ご住職や地域の長老たちが交わす言葉の中に、
日々の生き方のヒントがありました。
「お寺がまた、地域の人々の話し合いや
学びの場になれば」そう願う現住職のもとで、
寺子屋のような“集いの場”を取り戻そう
という動きが始まりました。
法話やお悩み相談、
さらには、音楽のライブなどを通して、
世代や立場を超えて人がつながる場所に、
そんな構想の中で生まれたのが、
今回の永代供養塔です。
先代住職が思い描かれていた
「供養塔を建てたい」という願いを
若い現住職が引き継ぎ、
いよいよ実現へと動き出しました。
職人と手づくりで生まれた「俱会一処(くえいっしょ)」
永代供養塔の正面には、
「俱会一処(くえいっしょ)」という文字が
刻まれています。

これは、
「阿弥陀仏(あみだぶつ)の浄土で、
みな共に一つの場所で再会しよう」
という意味をもつ浄土真宗の言葉です。
どんな人も分け隔てなく、
安らかに集う場所であってほしいという願いが、
この言葉に込められています。
素材は、御影石(みかげいし)ではなく
鉄筋コンクリート(RC)構造を採用しました。
石材に比べて費用を抑えつつ、
手づくりの温かみと独自性を出すためです。
特に、文字部分の型抜きは難しく、
コンクリートを細部まで染み渡らせるため、
バイブレーションという機械を使い、
振動を与えながら慎重に打ち込みました。
まさに一発勝負の作業で、
少し欠けてもやり直しがきかない、
そんな緊張の中で、丁寧に仕上げられた文字です。

また、維持管理のための工夫もあります。
外壁にはランデックスコートという
特殊なコーティングを施しました。
10年以上色あせず、美観を保つことができます。
御影石(みかげいし)のような
高額なメンテナンスが不要で、
将来的な負担を軽減することができます。
また、コンクリートの打ちっ放しを再現するため、
羊毛フェルトでぽんぽんと叩くようにして、
数種類の色をまだらにして色をつけました。

ご住職の「みんなでやろう」という掛け声のもと、
お寺の役員さんにもご参加いただき、
最後の仕上げ時には、羊毛フェルトを片手に
なるべく多くの方に色を付けていただきました。
完成した供養塔は、
やわらかな色調と温もりある質感で、
周りの景観になじむように溶け込んでいます。
内部に込められた工夫と想い
高さ3メートルの塔の内部には、
約400体のお骨を安置できる棚が設けられ、
さらに地下ピットにはおよそ1,000体を
収めることができます。
地中には土が残されており、「いつか大地に還る」
という自然への祈りが込められています。
一定期間を過ぎたお骨は、地下に移され、
やがて皆が共に眠る形になるため、
まさに「俱会一処(くえいっしょ)」の
思想を体現しています。
塔内にはガラスブロックを通して
柔らかな光が差し込み、
淡いブルーの壁面が静寂を包みます。

湿気対策のために何度もコーティングを重ね、
長く安心して納められる環境を整えました。
「お参りに来た人が気軽に、
心安らかに手を合わせられる場所に」
という思いが、細部にまで生かされています。
ペットも共に、安らぎの場へ
永代供養塔の隣には、ペット供養塔を造りました。
白御影(しろみかげ)と黒御影(くろみかげ)を
組み合わせて、犬の足跡をつけた
可愛らしいデザインです。

「大切な家族だったペットと、そばで眠りたい」
という声に応える形で採用されました。
永代供養塔、ペット供養塔ともに、
今後は開眼供養(かいげんくよう)を行い、
法要を経て、受け入れが始まる予定です。
そして両者の間に、水琴窟(すいきんくつ)を
設ける構想も進んでいます。
地下に瓶(かめ)を埋め、
落ちる水の音が響き渡る仕組みです。
訪れた人が手水を注ぐと、
涼やかな音色が境内に広がる、
そんな癒しの空間を思い描いています。
今、試作品の準備をしながら
水の流れる落差によって
反響音がうまく響くような工夫を考えています。
人が集い、心が通う場所へ
現住職は、月命日や年回忌など、
節目ごとに檀家さんを訪ね、
お参りを続けています。
その姿は、先代の遺志を引き継ぎ、
地域に寄り添いながら歩む誠実さがあります。
「お寺を身近に感じてもらいたい」
という思いから、今年、2025年の夏には、
本堂でジャズライブが開催されました。
音楽と笑顔があふれるひとときに、
「お寺って、こんなに楽しい場所なんだ」
と感じる人も多かったといいます。
これからも、お花見会や法話会、
そして新たな催しが構想されています。
永代供養塔は、
単に“お骨を納める場所”ではなく、
人と人、人と仏様をつなぐ場所として
気が向いた時に訪れていただければと
いう思いが託されています。
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ふくろうはうす(高橋建装)の高橋でした。
次回は「急がないリフォームのすすめ~見学相談会から始まる
『自分たちの答え』の見つけ方」のテーマで準備しています。
楽しみにしてくださると嬉しいです。




