今年2024年1月から施工が始まった
古民家再生リノベーションが
先月8月に完成しました。
昔の宿場町の街道沿いにあり、
間口が狭くて奥行きが長い構造の
典型的な町家づくりの家で、
敷地内には、お稲荷さんがあり、
趣(おもむき)のある庭もあります。
ご夫婦と子どもさん2人の
4人家族で住まわれるために、
古民家再生リノベーションを行いました。
古民家はご主人のご実家ですが、
築100年以上が経ているため、
リノベーション工事などで再生させて
住み続けることができるとは
当初は、考えていなかったそうです。
知り合いの建築屋さんに聞いてみても、
建て替えたほうがいいよと、
一蹴されたそうですが、この度、
ふくろうはうすとご縁をいただき、
「住まいの健康寿命診断」を行った結果、
リノベーションで再生させることが可能と
判断させていただきました。
今回は、このお客様ご家族の
古民家再生リノベーションについて、
お話させていただきます。
古民家の持つメリットとデメリットを生かす
この古民家には、
基礎と呼べるものがなかったため、
基礎を造るところから始まりました。
また、
日本古来の通し貫(ぬき)工法が用いられ、
壁は、竹で縦横にしっかりと組み込まれた上に
土をかぶせる竹小舞(たけこまい)という工法で、
制震性に優れていたため、
壁を壊さず、このまま生かすことにしました。
このあたりの話については、
以前のブログでお伝えしておりますので、
よろしければ、お読みください。
古民家は2階建てですが、
水回りが不便だったため、
古民家に対して直角に継ぎ足すような形で
30数年前に、キッチンとお風呂とトイレが
L字型に増築されていました。
このL字型の部分を生かして、
対面キッチンを設置し、そこから繋がるように
広々としたLDKを造りました。
また、猫を飼われているため、
キャットウォークを取り付けました。
LDKの床も、
ペット対応のフローリングを選ばれたため、
裸足で歩くと少しざらざらしています。
母屋の古民家には、広縁があり
間仕切りされていましたが、
その間仕切りを取り払って、
広縁だった部分を部屋の一部にしたため、
部屋の空間が広がりました。
この部分は天井が低いのですが、
天井の高低差を使って、照明を配置したため
照明を点けると昼間とは雰囲気の違う
夜の風情を楽しめるようになり、
ご家族みんなが集まりたくなるような
リビングに仕上がりました。
LDKの続きには2部屋を造り、
うち1部屋はご主人のための和室の個室、
もう1つの部屋はフリールームとしています。
フリールームは、将来、
趣味や仕事をするために使うこともできます。
梁と柱の一部あらわしは若干の補修で重厚感を演出
古民家の母屋は2階建てで、
階段がありましたが、
昔ながらの急勾配(きゅうこうばい)の
はしご風の階段でした。
そこで、勾配(こうばい)を緩やかにして
安全に上り下りできるよう、
新たに階段を設置し直しました。
母屋の2階は3部屋を造って、
一番手前が奥さんの部屋、
奥へと続く2部屋が子どもさんの部屋です。
古民家の風格をなるべく残すため、
梁と柱の一部をあらわにしました。
もともとあった梁や柱は、
若干の手直しが必要だったため、
更に黒光りするよう、
古材に馴染むような塗装をかけたこともあり、
重厚感を醸(かも)し出しています。
壁は白っぽい色で仕上げ、
床や造作家具は、ミドルブラウンの色調のため、
古民家をリニューアルしているという
雰囲気を残しています。
全体的に、もう少し、
梁や柱を見せたかったのですが、
構造計算上、水平方向の力が足りなかったため、
やむなく天井を設置した部分もあります。
壁の表面には、ボードを張り、
その上にクロスを貼って仕上げましたが、
壁の内側には、竹小舞(たけこまい)と
いう工法で作られた古民家の土壁を
そのまま残しています。
そのため、
相対的に「呼吸のできるお家」の要素を残し、
随所に、その土壁が呼吸するための通り道を
ある程度、確保しています。
構造上の風の通りの計算や光の計算などを行い、
経路を確保したため、
表面的には、近代的なボードのクロスですが、
見えない隠れたところに特性を残しています。
時間も手間もかかる古民家再生はそれだけの価値がある
今回、施工の計画を進めるために、
問題となったのが、間口が狭く、
駐車場のスペースが取れないことでした。
ところが、
この古民家再生リノベーションをお客さんが
思い立たれたころに、
隣の家が、土地を売りに出されるという
タイムリーな話があり、交渉した結果、
駐車場のスペースを確保することができました。
親御さんやご祖父母様と一緒に暮らした
思い出のお住まいを
解体して建て直すしかないのだろうと
お考えだったご主人ですが、
リノベーションでここまで再生できたことに
驚かれ、満足していただけたご様子でした。
計画段階では、
なかなか実感が湧かないものですが、
いよいよ施工が始まり、
ご実家の変遷の過程をご覧いただくことで、
実感することが出来たようです。
もとの躯体を生かすため、工事内容が複雑で、
時間も手間もかかる古民家再生ですが、
それだけの価値があり、
施工させていただく側としても
やりがいがあり、工務店冥利に尽きると言えます。
古民家リノベーションについて、
あなたはどのようなイメージをお持ちでしょうか?
また、うちにも古民家があるけれど、
古すぎてきっとリノベーションなんか無理だと
思われている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
古民家リノベーションしたいとは思っているけど、
これまで躊躇されてきた方、
まずは、ふくろうはうすの「住まいの健康寿命診断」で、
古民家リノベーションが可能かどうか
チェックしてみませんか?
どうぞ、お気軽にご相談ください。
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群馬県桐生市の工務店
リフォーム・リノベーション専門店
住まいの健康寿命診断士
ふくろうはうす(高橋建装)の高橋でした。
次回は「耐震と制震のバランスを取るための
古民家再生時の構造計算と和算」のテーマで準備しています。
楽しみにしてくださると嬉しいです。