「転ばぬ先の杖」のリフォーム~温度のバリアフリーと手すりの設置~


大がかりなリノベーションを行うのは、
50代、60代、70代の世代の方が多いです。



仕事子育てが一段落し、この先の老後のために
リフォーム・リノベーションを行い、
お住まいや暮らしを整えようというお考えからです。



ご相談をいただき、お住まいに伺うと、
築30~40年の建物で、段差が多く、
2階への階段に手すりがないお家も多いです。



先日、80代前半の女性から、
安全対策として、手すりを取り付けて、
段差で躓(つまず)かないような工夫をしたい
とご相談いただきました。



今回は、お家での事故を事前に防ぐための
転ばぬ先の杖」のリフォームについて
お話させていただきます。





脱衣室とトイレの「温度のバリアフリーと手すりの設置」


家の中の転倒事故で一番多いのは
お風呂に入る前の洗面脱衣室です。



衣類を脱ぐと皮膚の体表温度が下がりますが、
ご年配の方は特に脱いだ瞬間に、かなり下がります。


すると、足先の感覚が鈍くなってしまいます。



自分では足を踏み出したつもりでも、
実際は出ていなくて、結果、転んでしまいます。



脱衣室で衣類を脱いで、さて、お風呂に入ろうと、
浴室ドアに手を伸ばした瞬間、足がついていかないため、
滑って転んでしまうパターンです。



浴室ドアの手前に手すりを設置しておけば、
とっさに手すりを掴むことで、
ケガや骨折を防ぐ手助けになります。



脱衣室に取り付ける手すりは、
手前が横棒で、浴室ドアの近くが立ち上がりの縦棒の
L字型が適しています。



脱衣室以外では、衣類を脱ぎ着するトイレ
危険度が高いです。



お風呂に入る前に、
トイレに入ってから衣類を脱ぎ着して、
脱衣室へ向かい、全て脱ぐというパターンが
多いと思われますが、
その連続動作で体表温度が下がり、
手先足先感覚が鈍くなってしまいます。



冬場は特に、
ヒートショックが起こる危険性もあるため、
脱衣室やトイレに暖房があると安心できます。



ご年配の方がいらっしゃるご家庭には、
温度のバリアフリーと手すり
セットで考えた方がよいですよ。」
とご提案させていただいています。



改めてお家の中の危険性に気付かれることによって、
脱衣室とトイレの暖房と手すりを
すぐ設置されるお客様が多いです。





玄関に設置するステップ(踏み台)とL字型手すり


脱衣室での転倒事故の次に多いのが、
玄関先での転倒です。



2階への階段に手すりがないのと同じで、
玄関先に手すりがないお住まいは多いです。



玄関から家の中に入るための框(かまち)の高さが、
現在は10~15cmくらいですが、
昔は30~40cmくらいありました。



80代前半の女性から安全対策についてご相談いただき、
玄関の框(かまち)に、ステップ(踏み台)を置いて、
L字型手すりを取り付けました。



立ったままの姿勢で、手すりに掴まりながら、
かがんでステップ(踏み台)まで下ります。



靴を履くため、体の向きを変えることもありますが、
ステップ(踏み台)を置くことによって、
方向転換が楽になります。



足や腰を悪くして杖を使って歩いていても、
手に支障がないなら、手すり補助にすることで、
玄関の上り下りがになります。



手すりは支えにすると言うより、
掴むというか触るだけで安定します。



つかまるところが何もないと見た目にも不安定ですが、
そこに手すりがあるだけで、いつでも掴めるという
安心感につながります。



30~40cmの高さくらい、
問題なく上り下りしてきたのに、
年を重ねていくといずれ、
滑ったり転倒したりする日が
突然やって来るかもしれません。



大丈夫だと思っていても、いざ、足元がふらついた時に、
転ばぬ先の杖」として、さっと掴める手すりがあれば、
安心ですね。





掴みやすいのは直径28mm~32mmの手すり


手すりは、直径35mmくらいが主流となっていますが、
28mm~32mmくらいの細い方が掴みやすいです。



ふくろうはうすでは直径30mm~32mmぐらいのものを
よく使っています。



細くて華奢(きゃしゃ)だと思われるかもしれませんが、
握るという動作は、小指に力が入ると安定します。



小指が回って、手すりをしっかり捕まえられるのが、
直径30mm~32mmくらいで、
35mmだと小指が回らなくて、掴みにくいと感じます。



事前にお客様に、直径35mm、32mm、30mmで
長さ1mくらいの手すりを実際に握っていただき、
縦、横、L型、階段手摺のための斜め方向など
試していただくと「こんなに違うのですね」と驚かれます。





ミニ手すりから本格的な手すりへ


手すりというと、壁に沿ってに続くイメージを
持たれる方が多いと思いますが、
実は、横方向より縦方向の方が握りやすいです。


と言うのも、縦方向の方が小指に力が入るからです。



私が、まだ学生だった頃、近所の棟梁(とうりょう)が、
ご年配のご夫婦のお住まいの入隅に
縦方向の短い手すりを取り付けているのを見て、
「何だろう」と思っていました。



40年ほど前の当時は、手すりの金物など、
ろくになかった時代ですが、
棟梁が自作し、工夫して作られていました。



ご夫婦は「元気だから手すりは必要ない」と言われましたが、
「あると便利だし、邪魔にならないから付けときましょう」と、
転ばぬ先の杖」を実践されていました。



数年後、必要になれば、自在に長さを伸ばし、
本格的な手すりに取り換えることもできます。



最近は、コーナー用ブラケットという金物を使って、
小さい手すりを入隅や出隅のコーナーに
簡単に取り付けることができます。



つかまるところのない廊下には、
縦方向のミニ手すりをところどころに設置しておくと、
手すりとしての存在感は薄めながら、
安心材料になります。



10年近く前にリフォームをさせていただいたお客様から
手すりを取り付けてほしいとご相談いただきました。



10年前の当時は、
「多少体力は落ちたけど、若いつもりでいるし、
大がかりな手すりはまだいらない」とおっしゃったため、
入隅や出隅のコーナーに、
目立たないようミニ手すりを設置しました。



その後、病気を患われたそうで、
体がフラフラして、立ち座りが不安定なため、
手すりを設置したいとご相談いただきました。



そこで、10年前に設置した入隅や出隅の
コーナーのミニ手すりを取り外し、
本格的な長い手すりに付け替えました。



他の事例では、特に手すりの必要のない
40代前後のお客様のリフォーム時に、
「小さいグリップを取り付けておきましょう」と、
玄関の下駄箱のコーナー近くに、
オブジェっぽい丸いグリップを設置しました。



たんすの取っ手のような形状で、
手のひらで掴めるくらいの大きさの丸いグリップを、
框(かまち)を上り下りする度に
掴める位置に取り付けました。



しばらく様子を見ていただくと
「触ろうとする感覚だけで体勢が安定するのですね」
と、効果を実感していただいています。



転ばぬ先の杖」のリフォームについて
あなたも準備をされませんか?



温度のバリアフリーや手すりの設置をお考えの方は
ふくろうはうすの私、高橋までご相談くださいね。


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群馬県桐生市の工務店
リフォーム・リノベーション専門店
住まいの健康寿命診断士
ふくろうはうす(高橋建装)の高橋でした。

次回は「お客様との繋がりやコミュニケーションを大切にした『地域のコミュニティ』と
『地産地消』で地域を元気に!」のテーマで準備しています。
楽しみにしてくださると嬉しいです。

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