地震に備える~「精密耐震診断」の重要性と診断・解析結果の生かし方


今年2024年の幕開けは「能登半島地震」から
始まりました。



お正月ののんびりした時間の中、
飛び込んできた大地震のニュースに驚いていると、
翌日には、羽田空港の滑走路で
航空機の事故が起こりました。



お亡くなりになった方のご冥福をお祈りいたします。
また、被災された方には、
心よりお見舞いを申し上げます。



そして、今日は3月11日、
東日本大震災」から13年が過ぎました。



そんな今回は、地震について
お話させていただこうと思います。





無料の「一般耐震診断」と有料の「精密耐震診断」の現状


お正月の、しかも、元旦に起こった「能登半島地震」は、
今年を占うような出来事と捉える人も多く、
多くの人が「地震」についての「備え」を見直し、
防災グッズの売り切れが相次ぎました。



お住まい安全性を見直される人もいらして、
「ふくろうはうす」にも、
お問い合わせを複数いただきました。



各自治体では、無料一般耐震診断が行われていますが、
目視で見られる範囲と、計算上の耐震診断ですので、
「どこをどのように直せばよいのか?」については、
言及されていません。



「詳しくは『精密耐震診断(有料)』を受けてください。」
もしくは、
「地元の工務店さんに相談してください。」
という対応をされているそうです。



しかし、その後、精密耐震診断を受けたり、
工務店に相談する人はわずかです。



何のために、精密耐震診断する必要があるのか、
明確にならないと、行動に移すことにはなりません。



「ふくろうはうす」に
お問い合わせをいただくお客様は、
リフォーム、リノベーションのご相談内容であっても、
10件のうち1件くらい、
自治体耐震診断を受けられていますが、
精密耐震診断」を受けられている人はいませんでした。



リフォーム・リノベーションの施工時に
耐震化も並行して行いたいとお考えの人が多く、
施工方法費用のことを尋ねられることが多いです。



そこで、「精密耐震診断」の重要性について、
改めて「住まいの健康寿命診断」と併せて
お伝えすると、納得され、耐震工事には至らなくても、
「精密耐震診断」を受けられるお客様が、
「能登半島地震」以来、2組いらっしゃいました。





「精密耐震診断」は専門業者へ依頼(約15万円)


では、「精密耐震診断」はどのような診断なのか、
お話を続けます。



基本的には、
建物の重心を割り出して「起震機」を設置し、
約200kgの重りを揺らして、
震度で言うと1~1.5くらいの微振動を加えます。



床、壁、天井、柱、梁などに、予(あらかじ)め、
センサーをつけておき、地震力が加わった時、
どの程度の地震に耐えられるのか、測定します。



例えば、この柱と壁は震度6に耐えられる、とか、
この壁は震度5以上では部分的には耐えられない、
など、客観的データが割り出されます。



事前に、ふくろうはうすの「住まいの健康寿命診断」を行い、
例えば、土台にダメージがあることがわかったとして、
ファイバースコープなどで、
見える範囲のすべてを確認しても、
そのダメージでどのくらい持ちこたえるかについては、
おおよそのことをお伝えするしかありません。



しかし、「精密耐震診断」を行うと、
ダメージがリアルデータとして出されます。



壁の中に収まっていたり、
コンクリートの中に収まっていたりして、
目視で確認できない、
見えないところの安全性を調べるため、
精密耐震診断」が効力を発揮します。



部分的な強い、弱いが一目瞭然となり、
どのくらいの震度で崩壊してしまうという
シミュレーションもできます。



3次元データや画像シミュレーションの解析結果から
例えば、震度6の地震が来た時に、
どんな風に変形を受けて、どこから壊れていくか、
ということもわかります。



精密耐震診断」は専門業者による調査診断で、
費用は約15万円です。
「ふくろうはうす」では、信頼のおける、
正確なデータが取れる会社に依頼しています。





「精密耐震診断」と「住まいの健康寿命診断」を照らし合わせた地震対策


精密耐震診断」の前には、総合的な診断が必要です。



例えば、ふくろうはうすの「住まいの健康寿命診断」の項目の
耐震というところだけに着目すると、
製品寿命、躯体寿命を含め、
あらゆるところの不具合問題点
あらわにしておくのが前段階です。



その後、「精密耐震診断」を行い、
その結果を照らし合わせると
住まいの健康寿命診断」で
明らかになった不具合や問題点を
実証できるだけの必要十分な裏付けデータが取れます。



また「精密耐震診断」の結果は、専門会社から
何十ページにも渡るデータ解析数値が届きます。



学者レベルの解析になっていて、わかりにくいため、
エクセルシート1枚に簡単にまとめて、
お客様に説明させていただいています。



例えば、「震度5強の地震の場合、
このようなダメージが発生します。
現状で、この柱に傷みや腐りが発生しているため
おそらく、これと連動して、
反対側の柱にもダメージが来ます。」
という具合です。



地震は、直下型もあれば、横揺れもあり、
どのように伝わるかわからないため、
あらゆる角度想定した結果を
簡単にお伝えしています。



現行の建築基準法では、耐震等級1を満たすことが
条件となっています。



一般的な耐震補強を行うには、
壁を剥いでスケルトン状態にして、
耐力壁に入れ替えたりするため、
最低でも700~800万円かかります。



ただ、「精密耐震診断」を行うことによって、
耐震補強と同等のレベル以上を達成させるためには、
建物の地震力弱める制震リフォーム
有効ということがわかりました。



コラムで以前お話したことのある
MAK-1を入れることによって、
耐震等級1以上が出ることがわかりました。



耐震等級1以上を目指して、
以前、制震リフォーム採用したことがありますが、
耐力壁に入れ替える耐震リフォームを行う場合に
700~800万円かかるのと同等の規模の建物と想定して
MAK-1設置にかかった費用は約200万円でした。



精密耐震診断」と「住まいの健康寿命診断」の
結果を照らし合わせて検討した結果、
制震リフォームを採用して、
費用を抑えられたケースです。



2016年の「熊本地震」の直前に、
築58年のお住まいを制震リフォームされた事例で、
本震、余震と続いた後、ほぼ無傷というケースがありました。



一方、耐震等級1を満たしている新築物件の中に、
バランスの悪いものがあり、16%くらいが完全倒壊しました。



1回目の本震でバランスが崩れ、
見えないところでダメージを受け、
追い打ちをかけるように発生した2回目の地震で
倒壊してしまったという経緯でした。



それからは、制震という考え方が注目され、
広まることになりました。



この度の「能登半島地震」は、「熊本地震」と同じ
断層型地震だったため、検証はこれからになりますが、
同じような被害が出ていると思われます。



地震への備えに不安がある方は、
この機会にお住まいや備蓄などを万全にしておくと
よいですね。



地震対策を含めたリノベーションをお考えの方、
精密耐震診断」を受けてみたい方は
ふくろうはうすの私、高橋までご相談くださいね。


高橋俊博のおうちSOS はこちら

外壁・屋根 メンテナンス診断 はこちら

暮らしのリフォーム見学会 はこちら

現場監督・大工 求人募集 はこちら

国の補助金・桐生市の住宅リフォーム補助金の活用サポートはこちら

「ふくろうはうすの住まいるライフ」(FM桐生毎週水曜日12:40分~)はこちら

YouTube チャンネル「ふくろうはうすの住まいるライフ」はこちら



群馬県桐生市の工務店
リフォーム・リノベーション専門店
住まいの健康寿命診断士
ふくろうはうす(高橋建装)の高橋でした。


次回は「【建築業界の2025年問題】2025年4月より施行される『改正建築基準法』と
『改正建築物省エネ法』」のテーマで準備しています。

楽しみにしてくださると嬉しいです。

Spread the love
上部へスクロール