実は今、建築業界では、「2025年問題」が話題になっております。
「2025年問題」とは、
「団塊の世代」の800万人全員が、
75歳以上の「後期高齢者」になり、
「超高齢化社会」となることで起こりうる、
社会保障費の負担、医療・介護体制の不足、
労働力の減少などを、
大きな社会的影響として捉えたものです。
建築業界でも、労働力不足の問題が、
何年も前から深刻化しています。
そんな2025年問題に向けて、
2022年6月に改正された
「建築基準法」と「改正建築物省エネ法」が
2025年4月から施行されることになり、
建築確認手続きや耐震・断熱工事が大きく変わります。
ふくろうはうすへのお問い合わせの中にも、
「2025年の法の施行はどんな形で行われますか?」
と、お客様からのご相談が数件入ってきています。
今回は、そんな建築業界の「2025年問題」について
具体的にお話させていただきます。
「改正建築基準法の4号特例」の縮小に伴う構造計算書の提出義務の発生
2022年6月に公布された令和4年改正建築基準法が、
来年2025年4月から施行されます。
これまでは、「4号特例」というものがありました。
簡単に言えば、
500㎡以下で2階建て以下の木造住宅(4号建築物)は、
建築確認の際の構造計算書が添付されなくてもよい、
とされていました。
500㎡以下の建物というと、
一般住宅はほぼこの範囲内になり、
構造計算書の添付が不要でした。
ところが、度重なる大きな地震があり、
建物全体のバランスの悪さのため、
あるいは、耐震等級1が守られていなかったため、
倒壊してしまったという4号建築物が
相次いで発覚しました。
そこで、新たに基準を設ける必要性が出てきたことにより、
2022年に建築基準法が改正され、
2025年4月から施行されます。
この改正により、「4号特例」が縮小され、
簡単に言えば、200㎡以下で平屋の建物以外は、
「4号特例」から外れることになります。
つまり、
今まで、4号建築物とされていた建物は、
新2号建築物と新3号建築物に分かれ、
4号建築物という名称はなくなります。
今までは、「4号特例」により、
建築確認の際の構造計算書の添付なしで
認められていた建物であっても
2025年4月以降に、
リフォーム・リノベーションを行う場合、
2階建て以下の木造建築物で300㎡を超えるものは、
建築確認の際の構造計算書の添付が義務付けられます。
また、2000年に施行された
「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」により、
建築基準法の耐震性能を満たす「耐震等級1」が
義務付けられています。
許容応力度計算など構造計算を行い、
耐震等級1以上をクリアできているかどうか、
審査を受け、承認されなければ、建築申請が通りません。
つまり、申請が通らなければ、
工事を始めることが出来ないわけです。
スケルトンリフォームについては、今まで、
建築確認書を提出しても提出しなくても…、
というグレーゾーンでしたが、
2025年4月以降は、
スケルトンリフォームを含む大規模改修の場合、
建築確認書、構造計算書、補強計画案の提出が
必然となります。
新築住宅、新築非住宅、大規模改修は「省エネ等級4」が標準化
「令和4年改正建築基準法」と同時に
2022年6月に公布された「改正建築物省エネ法」が
2025年4月から施行されます。
「4号特例」の廃止と同時に、
「省エネ基準」の適応が義務付けられるということです。
新築の最高基準とされてきた「省エネ等級4」が
2025年4月以降は、
全ての新築住宅、新築非住宅に課せられます。
また、スケルトンリフォームなどの大規模改修で、
建築確認書を提出しなければならない物件は、
耐震補強と同時に断熱強化も義務化され、
新築並みの「省エネ等級4」をクリアしなければ、
建築申請が通らなくなります。
「断熱等級」は7段階あり、
現地点での最高ランクの等級が「断熱等級4」ですが、
この最高ランクの断熱性能が2025年には、
標準化されます。
これまでも、床・壁・天井に断熱材を入れるなど、
断熱化工事は行われてきましたが、
以前の建築基準法で建てられている建物は、
「断熱等級4」をクリアできない物件が圧倒的に多いです。
理由は、UA値が大きいためです。
UA値(外皮平均熱貫流率)は、
外皮(床、壁、窓、屋根など)から、
住宅全体の熱量がどれくらい逃げやすいかを
示す数値です。
数値が大きいほど、熱量が逃げやすく、
断熱性能の低い住宅と言えます。
「断熱等級4」のレベルをクリアするためには、
例えば、厚くて密度の高い断熱材が必要になります。
発砲系のプラスチックの断熱材なら、
これまで30mmくらいが標準だったとしても、
50mm以上の厚みに変えて施工しなければ、
「断熱等級4」をクリアできません。
断熱等級は1、2,3とあり、これまで、
4は最高ランクで、努力義務と言ったところでした。
等級の違いは、端的に言えば、
断熱材の厚みの違いによるものです。
中には、薄くてペラペラなものがあり、
よく断熱材としてまかり通ってきたな、
と思えるものもありました。
基準をあいまいにしないで、
UA値という外皮性能を数値化して表し、
断熱性能の高い住宅を標準化することが
今回の法改正の理由のひとつです。
省エネ基準のクリアで生活は快適!でも、コストアップは必然
窓サッシについても、
断熱等級4まで性能を高めるためには、
ペアガラス、トリプルガラスが標準化されますので、
シングルガラスはほぼ使えなくなるでしょう。
サッシそのものの素材も、
アルミと樹脂の複合型か樹脂が主流になる
と思われます。
熱の通りにくさは、金属より樹脂の方が
優れているためです。
断熱等級4のレベルをクリアすると、
お住まいでの過ごしやすさが改善され、
冷暖房効率も断然よくなりますので、
光熱費の節約に繋がります。
但し、厚くて密度の高い断熱材や
高性能の窓サッシを採用するため、
当然、費用がかさんできます。
断熱等級4を意識しない施工と比べると、
全体で約30~35%くらいのコストアップになると
考えられます。
建築業界の「2025年問題」は、
建築確認手続きや耐震・断熱工事に大きな変化があり、
色々と混乱が生じることが予想されます。
2025年以降、
新築や大型リノベーションをお考えの方は、
ふくろうはうすの私、高橋までご相談くださいね。
ふくろうはうすでは、2025年問題を見越した
施工、体制、サポートを行っておりますので、
2025年前後問わず、ご安心してリ
フォーム・リノベーションを行っていくことが出来ます。
不安な方は、遠慮なくお問い合わせください。
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群馬県桐生市の工務店
リフォーム・リノベーション専門店
住まいの健康寿命診断士
ふくろうはうす(高橋建装)の高橋でした。
次回は「『耐震等級3』の建物は震度7の地震が2度きても無傷!建築業界の『2025年問題』」
のテーマで準備しています。
楽しみにしてくださると嬉しいです。