前回のコラムで、
新築時からリフォームの発想を取り入れると
間取りの自由度が広がるというお話を
させていただきました。
そこで、今回は、
ふくろうはうすで新築されたお住まいの
リフォームを例に、具体的な事例について
お話させていただきます。
ふくろうはうすの新築第1棟目のお住まい
ふくろうはうすの新築第1棟目のお客様ですが、
築25年を迎えられ、
子供さんたちは成長され、それぞれ所帯を持たれて、
今はご夫婦2人だけでお住まいです。
当時は、3人のお子さんのうち、
将来的に、誰かが実家に戻ってきて、
一緒に暮らすことも想定されていました。
そのため、新築時から、
二世帯住宅として使っても耐えられるように、
構造的にしっかりと造り込み、
1階、2階をそれぞれ単独の世帯として、
使えるように工夫を凝らしております。
ところが、お子さんたちは3人とも、
ご実家に戻ってくる気配がなくなったため、
思い切って1階をコンパクトにして、
2階は、お子さんたちが帰省された時に、
使えるスペースとする計画が持ち上がっています。
1階ベースで夫婦2人の生活を送るのに、
便利で住み心地をよくするための
終の棲家として手を入れてみるのもよいかと、
数年後の施工をめどにリフォームしたい
というお話です。
間仕切りに自由度を増す構造的な工夫
新築当時から、
リフォームの発想を意識していたため、
回れる動線をいくつも作って、
なるべく袋小路にしないという工夫をしています。
数年後に定年を控えているため、
身体が元気なうちに、お住まいのことを考えて
ある程度、整えておきたいとのことです。
新築時には、3人の子供さんたちの個室を
2階にそれぞれ造りましたが、
将来は、二世帯住宅として使えるように、
間仕切りに自由度を増すよう、
構造的な工夫をしています。
2階には、4部屋ありますが、
二間（ふたま）続きで使えるようにもなります。
法改正が行われ、
新耐震基準から更に2000年基準に移行した、
ちょうどその当時の建物です。
当時は断熱等級についてはあまり厳しくなく、
耐震等級については、
1以上を担保しなければならない、
というものでした。
阪神淡路大震災後に法改正が行われましたが、
その時の基準として、耐震金物を選定して、
設置するという義務がありました。
現在の基準よりも、若干緩かった感じで、
基本的な基準を全部クリアするのはもちろん、
断熱も重視していたので、当時の基準以上に、
断熱等級を上げるための様々な工夫も行いました。
耐震と制震のバランスを取り入れた揺れに強い家
ふくろうはうすで、
初めて手掛けさせていただいた新築でしたが、
現在の耐震基準に匹敵するくらい、
壁倍率を2.5倍にして、性能を上げています。
また、木造軸組工法のため、
柱と柱の間に筋交いを入れ、
耐力壁を造っていきますが、
さらに、骨組みの外周全部と内周の一部に、
ダイライトという構造用の特殊な合板を使っています。
筋交いの代わりに、面材に置き換えるのが
ダイライトの特徴です。
筋交いを入れた上に、ダイライトを貼り、
複合構造にすることによって、
非常に粘り強い家になり、
東日本大震災の時には、かなり揺れた地域でしたが、
それほど揺れを感じなかったそうです。
また、制震も重視していたため、
基礎土台に初めて基礎パッキンを採用しました。
今では主流の方法ですが、
基礎と土台の間にサンドイッチする
プレートのようなものです。
土台の下の基礎の部分には、風窓がありますが、
この基礎パッキンを入れることによって、
風窓を開けなくても通気ができますし、
揺れを吸収する耐震パッド的な作用もあります。
耐力壁に対して、金属流動を取り入れ、
多少の柔軟性を持たせた金物は、
当時、初めて作られたものでした。
壁を強くするために、
家全体を1つのボックスとして固めるのが、
耐震の考え方ですが、
固めるということは、柔軟性が足りないということで、
力を逃がさなければならないところが発生します。
今回採用した
2つの金属を重ね合わせた金属プレートは、
揺れに対して摩擦で動く金属流動で、
地震力を逃がす作用があります。
当時、建築基準法では、
筋交いプレートという金物を入れるよう
指示されていました。
ある一定以上の力が変わると、
金属流動という摩擦の力によって、
地震の力を吸収してくれるような金物が、
当時、初めて開発されたため、
筋交いプレートをこの金物に変えました。
今でいう制振装置MAK-1（マックワン）です。
MAK-1（マックワン）が出る前に、
金属流動に着目して、
試行錯誤で作られていた金物会社さんを知り、
連絡を取って採用させていただきました。
今でこそ、この金属流動を使った制震金物は
たくさん出ていますが、その走りだと思われます。
ふくろうはうすの新築第1棟目のお客様の
お住まいのコンパクト化について、
これから、プランをご提案させていただきますが、
地震の揺れに強く、自由度の高い構造のため、
柔軟に対応させていただけると思います。
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群馬県桐生市の工務店
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住まいの健康寿命診断士
ふくろうはうす（高橋建装）の高橋でした。
次回は「軒ゼロ住宅はエコの印象だが、
雨漏りに弱いデメリットがある！」のテーマで準備しています。
楽しみにしてくださると嬉しいです。
