軒ゼロ住宅はエコの印象だが、雨漏りに弱いデメリットがある!




前回のコラムでは、
ふくろうはうすの新築第1棟目について、
お話させていただきました。



25年前の当時、耐震プラス制震という考え方で、
地震に強いお家になるよう、
様々な工夫をさせていただきました。



地震に対する思いは阪神淡路大震災後のボランティアの経験から


阪神淡路大震災から、
今年でちょうど30年を迎えましたが、震災後に
ボランティア活動をさせていただいた経験は、
ずっと心に残っています。



どのようなメカニズムで建物が倒壊したか、
倒壊を免れたのはどのような理由からなのか、
実際現場に入って、
検証的な感じで見させていただきました。



阪神淡路大震災の発生前から、
木造のお家の場合、
木材の伸縮性限界点を超えるような
地震が起こると、耐えきれず、
破壊されるのではないかと考えていました。



というのも、リビングなど広い空間があると
確かに開放感はありますが、
耐震的にはアンバランスな建物が多いと
感じていたからです。



リフォームを行ったとしても、
そのアンバランスさは解消されないまま、
完成してお引き渡しになることに、
漠然とした不安がありました。



来るか来ないかわからない地震に備えるより、
普段の暮らしを充実させるために、
間取り優先させる方が主流でした。



もちろん、リビングを広く取ることが
悪いというわけではなく、
その分、バランスを取るために、
例えば、外周に対して面積を小さくしたり、
あるいは、外周に耐震壁を設置したりして、
の数や耐力壁の配置など工夫をする必要が
あるというわけです。



また、2階建てのお住まいで、
間取り優先のプランを進めた結果、
本来であれば、1階の天井の梁(はり)の上に
2階の柱が乗って、1階から2階まで壁が
続いていると安定するのですが、
2階の壁がずれる、間崩れという状態の
非常にバランスが悪いお住まいが
思った以上に多いです。



バランスの悪さを無視して、
間取りを優先した結果、
新築でありながら倒壊してしまったお家が、
残念ながら、熊本の地震でよく見られました。




軒ゼロ(軒のない)住宅のデメリットは雨漏り


今時の新築は、
上から下までストンという感じの
キュービックのお家が多い印象ですが、
直下率バランスがよければ、
なかなか強い建物かもしれません。



中には、真四角で軒すらないお家もありますが、
それはそれで、問題を抱えているケースがあります。



例えば、新築から10年経って、
リフォームのために、外壁を剥ぐと、
中がカビだらけになっているとか。



軒ゼロ(軒のない)住宅は、
雨が回りやすいという、
歓迎されない特徴があります。



ちょうど今、軒ゼロ(軒のない)住宅の
ご相談をいただいているお客様が
いらっしゃいます。



築19年のお住まいで、
奥様はピアノが趣味とのことです。



今回のご相談は、お母様から譲り受ける
グランドピアノを置くスペースを確保するため、
増築をしたいというお話から始まりました。



増築のための調査で、屋根や外壁の一部を
可能な限り診させていただいたところ、
懸念していた予想が的中して
外壁の中が錆びていました。



事前に、おそらくこうなっていますよと、
お客様にお話した上で、
部分的に外壁を少し剥がしてみると、
断熱材カビだらけになっていました。



前々回のコラムでもお話させていただいた
軒樋(のきどい)から天井に雨が回るお話の内容が、
まさにこのケースです。



少しでも軒があれば良いのですが、
軒が全く無いために、
外壁にあたる雨の範囲が広いため、
ちょうど屋根の継(つ)ぎ手のところから、
雨漏りが発生していたのです。



今回は、不幸中の幸いで、
内壁まで影響は及んでいなかったため、
外壁1/3くらい剥がして、
断熱材にカビが生えているところを全て取り去り、
外壁を復旧して、ガルバリウム鋼板に張り替える
というプランを提案させていただきました。




雨仕舞(あまじまい)の工夫と窓回りの庇と防水の強化で解決!


軒ゼロ(軒のない)のお家は、
屋根と外壁の継ぎ目の
雨仕舞(あまじまい)重要で、
その部分の施工が甘いと
屋根から直接外壁に雨が回ります。



通常の雨の場合は、あまり影響がなくても、
強い雨になると、屋根から外壁にかけて、
外壁がびっしりと濡れるわけです。



今回のお客様のお家もそのような原因によって、
雨水が外壁の中に浸透していました。



そこで、若干、軒を伸ばすというイメージで、
雨返し雨押さえと言われる施工を行い、
防水構造をしっかり確保しました。



また、窓を少しでも開けると、
雨がお家の中に入って来やすくなるため、
窓の上に20cmくらいの短い庇(ひさし)
あと付けしました。



雨仕舞(あまじまい)の工夫と、
窓回りに庇(ひさし)をつけることと、
防水を強化すること、
そんな話に今回は落ち着きました。



19年前の新築時には、
予算内に収めるということもあり、
工務店さんから、軒ゼロ住宅
素材が少ない分だけエコですよと
メリットの部分を強調されて、
デメリットの部分についての説明は
なかったそうです。



今回、リフォームすることになり、
様々な施工業者さんに接触して、
デメリットが一体何だったのか、
19年目にしてわかりました、とのことです。



また、専門業者と接触してみると、
軒ゼロ住宅のデメリットの部分について
端的な説明はどこからもあったそうですが、
例えば、一歩踏み込んで、
現状がどうなっているのかについては、
わかりません、というのが、
ほとんどの業者の対応だったそうです。



今回は、増築を取りやめて、
雨漏り補修で落ち着きましたが、
グランドピアノを譲り受けることになった、
そのお母様のお住まいも15年ほど前に
実は、ふくろうはうすでリフォーム
させていただいています。



その辺りのお話は、次回のコラムで
詳しくお話させていただきますね。



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リフォーム・リノベーション専門店
住まいの健康寿命診断士
ふくろうはうす(高橋建装)の高橋でした。



次回は「参考になる施工事例をピックアップして
リフォームを具体的にイメージする!」のテーマで準備しています。
楽しみにしてくださると嬉しいです。

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