地盤改良工事を伴う場合のリノベーションと建て替えの違い


前回のコラムでは、
住まいの健康寿命診断」を行い、
その結果を元にリノベーション建て替え
選択していただくことの大切さを
お話させていただきました。



私が経験させていただいた中で、
住まいの健康寿命診断」の結果、
様々な角度から判断して、
同じ場所で住み続けるには建て替えレベルです、
と、話をさせていただいたのは、
たった1軒です。



今回は、リノベーションではなく、
建て替えで施工させていただいたこのお客様の
住まいの健康寿命診断」から、
プランに至るまでをお話させていただきます。




二世帯住宅をリノベーションか?建て替えか?


今から十数年前、
フルリノベーションをされたお客様の
お住まいをお借りして、
リフォーム現場見学会」を開催していました。



ビフォーアフターをパネルで展示したり、
30分ほどのミニセミナーを行ったりして、
来場された方が
リフォーム・リノベーションを
より身近に感じられるよう工夫しました。



そんな「リフォーム現場見学会」に、
お母さんと娘さんご夫婦の二世帯で、
一緒に住まわれているご家族が来場されました。



当時、築30年ほどのお住まいで、
お亡くなりになったお父さん
ご来場されたお母さんが力を合わせて
建てられたお家とのことでした。



娘さんにとっては、
子どものころから過ごしたご実家でもあります。



お住まいをフルリノベーションしたら、
どのぐらいの費用がかかるのか、
建て替えにするか、フルリノベーションにするか、
迷っていることなど、お話してくださいました。



当時は「住まいの健康寿命診断」という
名称はありませんでしたが、
人の体と同じように、建物健康診断を行うことが
重要であることをお話して、その結果から、
建て替えか、フルリノベーションか
結論を出しても遅くはないですよ、
とお伝えしました。



すると、お客様から、
お住まいを診てほしいとご依頼いただいたため、
後日、お住まいにお伺いし、2度にわたる
住まいの健康寿命診断」を
させていただくことになりました。




「住まいの健康寿命診断」で不安定な地盤が発覚


まず、住まい環境から調べましたが、
立地条件として、が近いこと、
周辺の土地に高低差があることなどから、
お住まいの周囲100m範囲
調査させていただきました。



すると、もともとだったと思われる
家の一部が、沈下気味だったため、
その土地に関する資料を取り寄せたり、
古くからこの近くに住んでいる人に、
「この辺り、昔はどうでしたか?」などの
聞き取りをさせていただきました。



これらの資料や地盤関係の調査結果と、
今後予測されるお住まいの変化など、
全体像を見るわけです。



調査診断した結果、建物自体には、
それほど悪いところはありませんでしたが
地盤が多少沈下傾向にあるため、
建物を維持管理するためには、
躯体に手を加える必要がありました。



ところが、
躯体に手を加えて建物を保全するためには、
現在の建物の間取りをあまり変えられないため、
二世帯で住むためのプランを考えると、
間取り変更に限界がありました。



お客様からご要望いただいている
二世帯住宅を実現するためには、
建て替え視野に入れましょうと
お伝えしました。




地盤改良工事を伴うリノベーションと建て替え


フルリノベーションか建て替えか、
最終的な決め手になったのは、
地盤調査の結果でした。



地盤調査は、
スウェーデン式サウンディング試験という方法で、
打ち込み棒によって、地盤がスカスカか硬いかを
調査します。



費用が4~5万円かかってしまいますが、
建物の足元を支える重要な部分のため、
もし、地盤改良工事が必要であれば、
この機会にしっかりと施工しておくことで、
将来の安心安全に繋がります。



敷地内の4隅と、建物の中心に近い1ヶ所、
計5か所の地盤調査をさせていただいたところ、
予想されていた通り、地下に空洞化した部分が
いくつもありました。



この状態で地盤に手を加えず、放っておけば、
いずれは建物沈下していきます。



建物だけをどんなにリフォームしたとしても、
基礎土台以下の地盤が不安定ということです。



この地盤調査の結果をお客様にお伝えして、
この土地に住み続けるためには、
建て替えを視野に入れないと難しいこと、
地盤改良が必要で、しかも、
単純に軟弱地盤を改良する方法でなく、
複合的な改良方法が必要なため、
地盤改良のための費用も多少かかることなど、
お話させていただきました。



それらすべてを予見してした上で、
最終的な費用を試算してみましょうと
プラン見積もりを提出させていただきました。



地盤改良工事
を行うために、
建て替えの場合は、建物を取り払ってから、
地盤改良工事を行い、新築していくという
方法になりますが、
フルリノベーションの場合は、
建物を残しながらの地盤改良工事となり、
支持地盤まで杭を打ち込んで、
基礎から上の部分を下支えしながら、
地盤改良工事を行うことになります。



フルリノベーションを選択する場合は、
新築並みのベタ基礎より、
多くのコンクリートを打ち込む必要があり、
そもそも、床を全部取り払って
ある程度、建物を軽量化しておく必要もあり、
手間も、時間も、費用もかかります。



だからといって、
仕上がったものに対して、満足するかどうか
といったレベルです。



お客様には、
地盤改良して新築するパターンと、
支持地盤まで杭を打ち込んで下支えをして
ある程度、間仕切りを変更して増築する、
リノベーションのパターンの
両方のプランと見積もりをお渡ししました。


費用の差額は400~450万円ほどでした。


建て替え
の方が、間取り自由がある上に
手間も時間も費用も抑えられて
合理的という結論から、
お客様は建て替えを選択されました。



地盤改良工事を伴う場合の
リノベーションか建て替えか、
今回は建て替えが合理的という判断でした。



リノベーションか建て替えか、迷っている方は、
ふくろうはうすの私、高橋までご相談くださいね。


高橋俊博のおうちSOS はこちら

外壁・屋根 メンテナンス診断 はこちら

暮らしのリフォーム見学会 はこちら

現場監督・大工 求人募集 はこちら

国の補助金・桐生市の住宅リフォーム補助金の活用サポートはこちら

「ふくろうはうすの住まいるライフ」(FM桐生毎週水曜日12:40分~)はこちら

YouTube チャンネル「ふくろうはうすの住まいるライフ」はこちら



群馬県桐生市の工務店
リフォーム・リノベーション専門店
住まいの健康寿命診断士
ふくろうはうす(高橋建装)の高橋でした。



次回は「適切な時期のメンテナンスで
『健康長寿なお住まい』を実現!」のテーマで準備しています。
楽しみにしてくださると嬉しいです。

Spread the love
上部へスクロール