前回のコラムでは、床下の湿気対策として、
床下に防湿コンクリートを打ち、
庭からの水分が建物に入り込まないよう
止水板を設置するのが良いですよという
お話をさせていただきました。
今日は、その続きとして、
床の施工時に床下に断熱材を入れることで、
湿気対策だけでなく、
断熱効果も上げることができる、
というお話をさせていただきます。
床下の湿気が間仕切り壁を通って室内に浸透
床を剥がして、防湿コンクリートを打ち、
更に断熱材を入れて床を復旧するという話ですが、
床下の施工には、吹き付け断熱が最も有効で、
床下の保護、断熱、補強になります。
最近では、この床下の吹き付け断熱を
メインとする改修が多くなってきています。
吹き付け断熱のメリットは、
床の全面を貼り換えなくてもできることです。
床下への出入口として、場合によっては1ヶ所、
通常は2~3ヶ所確保すれば、
施工することができます。
例えば、30坪程度の平屋の床で、
床下全体に吹き付け断熱を行う場合、
4ヶ所から、多くても6ヶ所くらい、
床に人が入れるくらいの穴を空けて、
入出口を確保させていただきます。
床に開けた出入口は、施工後、塞ぐというより、
床下点検口とさせていただくことが多いです。
床下の湿気の原因として、断熱性が悪い
というケースもあるため、
見えない隙間を塞ぐという点でも、
床下の吹き付け断熱は有効と言えます。
お家の中の間仕切りの壁ですが、
壁と壁の間は空洞になっているため、
床下から壁の空洞を伝わって、
湿気が上がっていることも多いです。
最近は、新築時に、床下からの湿気を
遮断するような施工が行われていますが、
それ以前に建てられたお家は、
壁の間に隙間風が通るといった状態で、
隙間風と一緒に湿気が浸透しています。
家の周りの外周には、
グラスウールなどの断熱材が入っているため、
床から外周部への湿気は伝わりにくいのですが、
お風呂、トイレ、キッチンなど水回りを
取り囲んだ壁など、家の中の間仕切り壁が、
床から筒抜けになっていて、
そこが湿気の通り道になっていることが
意外と多いです。
「通気止め」といって、
通気を遮断する方法があり、床下に潜り、
湿気が上がりやすいところを狙って、
通気を塞ぎますが、
塞ぎ切るのは、なかなか難しいです。
このような場合に、吹き付け断熱を使うと、
隙間をほぼ、遮ることができます。
吹き付け断熱の施工方法とその効果
吹き付け断熱の最初の状態は液体です。
隙間を狙って液体を噴射すると、
液体が空気に触れ、空気と反応して発砲し、
モコモコした状態になります。
そのモコモコした泡が膨らみ、
隙間が充填(じゅうてん)されます。
床下から壁の入り口付近に、
吹き付け断熱を噴射すると、
施工後は見えませんが、
床下から30~40cmくらいの高さまで、
壁の中に断熱材が充填(じゅうてん)されています。
床下の取り合い(構造材の接合部、接点)の
壁の中に、吹き付け断熱を行うことによって、
床下からの湿気が、押入れの間仕切りなどに
波及(はきゅう)するのを防ぐことができます。
特に、昔の造りのお家などには、
吹き付け断熱を使って、
湿気を帯びた空気を家の中に入り込ませない、
このような工夫をすることによって、
家全体の湿気をコントロールすることができます。
特に冬場の結露には有効です。
吹き付け断熱の施工は難しく、
内壁などオープンな場所に行うことはあっても、
床下に吹き付けていくことはありませんでした。
床下は、移動したり、身体を動かしたりすることが
たいへんなのに、その窮屈な空間の中で、
更に、均一に断熱材を吹き付けていくという
作業が続きます。
また、吹き付け断熱に使われる材料は、
今でこそ水性ですが、以前は油性だったため、
においもきつく、有機ガス用の防毒マスク
の着用が必須でした。
そんな状況でしたので、
まだ、誰も床下には使っていない時期から、
床下の吹き付け断熱を行っていました。
当時は、プロパンガスボンベの一抱えくらいの
大きさのボンベを2セット付けたようなものを
現場に持ち込み、
ガス圧を調整しながらの施工でしたが、
そのボンベから液体を出すためのホースが短いため、
引っ張りながらの作業がたいへんでした。
時間も手間もかかっていた、
30年以上前の施工事例がありますが、
当時のお客様からは「未だに快適です」と
嬉しいご感想をいただいています。
吹き付け断熱に使われるウレタンという成分は、
空気中の水分で加水分解するため、
水を含むと徐々に結合が弱くなることもありますが、
紫外線が当たらないところは、加水分解しにくいため、
特に、床下や壁の中などの密閉空間では、
劣化が少なく、メンテナンスの必要もありません。
床下の吹き付け断熱の施工から
30年経ったお客様のお家の定期点検で、
最近、床下に入りましたが、
全く問題なく、この方法が有効であることを
年数を経て、実感しています。
お住まいの健康状態は床下を見ればわかる
「お住まいの健康状態は床下を見ればわかる」
と言われていますが、
床下からの影響を受けてお家がむしばまれるため、
その原因を遮断すれば、お住まいの健康状態も保てる、
と言えます。
約30年前の当時に、ご依頼いただいた施主さんは、
残念ながら他界されていますが、
娘さんが住み継がれ、お住まいは築75年ほどに
なりました。
当時の施主さんは、古いお家なので、
娘さんが住み続けるのなら、思い切って、
建て替えをしてもよいと、お考えでした。
床下の湿気対策からはじまった施工でしたが、
その後も、ずっと必要なメンテナンスを続けられ、
良い状態を保ったまま、住み続けられています。
娘さんは
「もったいないから、今後もメンテナンスをしながら
住み続けます」とおっしゃっています。
床下からの湿気やにおいが気になる方、
床下の吹き付け断熱の施工をお考えの方は、
ふくろうはうすの私、高橋までご相談くださいね。
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群馬県桐生市の工務店
リフォーム・リノベーション専門店
住まいの健康寿命診断士
ふくろうはうす(高橋建装)の高橋でした。
次回は「『自己修復性コンクリート』で
メンテナンスコストを大幅に削減」のテーマで準備しています。
楽しみにしてくださると嬉しいです。