ふくろうはうすにご相談いただくお客様は、
既に他社さんの見積もりを取られていて、
具体的なプランまで進んでいる場合もあります。
「ふくろうはうす 健康長寿の家 見学会&相談会」
にお越しくださったお客様の中に、
他社さんの提出されたプランが気に入っている、
というご夫婦がいらっしゃいました。
![](https://fukurouhouse.jp/wp-content/uploads/2024/04/26525716_s-夢のマイホーム-住宅設計-間取り図.jpg)
まずは、
リノベーションした我が家を見学していただき、
お客様のお話を詳しく伺いました。
プランは気に入っているが、事情があって、
その施工店にお任せするのではなく、
改めて別の業者を探しているとのことでした。
後日、お客様のお住まいに伺い
「住まいの健康寿命診断」を行いました。
その結果報告と併せて
お客様のお持ちになったプランを私なりに見直した
プラン図と概算での見積もり額をお伝えしました。
今回は、
ふくろうはうすの「住まいの健康寿命診断」の
調査、診断の方法、また、
そこから見えてくる棟梁や大工の工夫、
お客様のお考えや判断などについて
お話させていただきます。
間崩れ(まくずれ)したアンバランスな建物
「ふくろうはうす 健康長寿の家 見学会&相談会」
にご夫婦で来場されたお客様ですが、
ご主人のご両親が建てられたご実家を
受け継ぐことになり、そのままでは使いづらいため、
リノベーションすることを決められたそうです。
ご夫婦と娘さん2人の4人家族だそうで、
今回、娘さんたちは来場されませんでしたが、
ご実家の2階を娘さんたちの部屋にしようと
お考えでした。
築40年ほどのお住まいは、
大きな広縁(ひろえん)と2間続きの和室が1階にあり、
2階は1階よりひと回り小さく造られ、
2階の外周に屋根のある
当時人気のあったスタイルのお家でした。
![](https://fukurouhouse.jp/wp-content/uploads/2024/04/105-1024x683.png)
建物の強度から考えると、
1階にある部屋の上に同じ大きさの部屋を造って、
1階と2階の柱や壁の位置が同じであるほど、
安定した建物と言えます。
当時流行っていた、
お客様のご実家のような造りのお家は、
そのようにはなっていないため、
建物のバランスが非常に危うくなっていました。
このような建物の状態を間崩れ(まくずれ)と言い、
本来なら、間崩れしないように設計するのが通例ですが、
2階も1階と同じように広い部屋が欲しいといった
当時のご要望があったため、
建築基準法をクリアできる範囲内で
最大限バランスを取ったと思われる工夫が
見て取れました。
リノベーションを行うためには、
お住まいの使い勝手や動線を改善するのは
もちろんですが、建物全体のバランスを考えた
プラン作成と施工が必要になります。
床下を診れば建物全体の80%くらいの健康状態がわかる
「住まいの健康寿命診断」は、
床下、天井、小屋裏、室内、外回り、外構、地盤
など、順を追って調査させていただいております。
「床下を診れば建物全体の80%くらいの健康状態がわかる」
と言われており、「住まいの健康寿命診断」の中でも
特に重要視している項目が床下の調査です。
キッチンの床下収納庫のところを点検口として、
ここから床下に潜らせていただくことが多いです。
![](https://fukurouhouse.jp/wp-content/uploads/2024/04/22425074_s-床下点検口.jpg)
汚れやカビなどを防ぐため、
白い防護服を着て、マスクを着用して、
床下の調査に臨みます。
床下をほふく前進しながら、
必要があれば、写真や動画の撮影を行います。
当時は有筋基礎(鉄筋の入った基礎)になって
間もないころだったため、コンクリートの強度は
それほどないだろうと思っていました。
ところが、コンクリートの強度を測定する
シュミットハンマーを使って測定したところ、
実際には強度が強いと出ました。
また、鉄筋探査機を使って、コンクリート内の
鉄筋の位置やかぶり厚(鉄筋を覆うコンクリートの厚さ)
を測定すると、鉄筋の数も当時の標準の
1.5倍くらいありました。
地盤まで到達する丈夫で安定した布基礎
お住まいは盛り土の上に建てられていましたが、
盛り土の下の一番安定した地盤まで到達するよう
掘り進められ、そこから基礎が造られていました。
当時は盛り土を少し掘って、
その上に布基礎を造るのがほとんどで、
50~60cmくらいの立ち上がりが通常でした。
![](https://fukurouhouse.jp/wp-content/uploads/2024/04/104-1024x683.png)
ところが、お客様のお住まいは
基礎のベースを含めると1m以上になるため、
通常の倍以上の高さの基礎が作られていました。
鉄筋量も当時の標準以上に使われているため、
当然、費用も倍以上の負担になります。
将来的に安全性を担保するために、
費用の負担は大きくなるけれど、
丈夫で安定した基礎を重要視して
施工の判断をされたのではないかと思われます。
また、お客様のご希望されるプランでは、
浴室の移動が計画されていたため、
確認したところ、浴室の基礎も頑丈に造られていました。
浴室を移動させるためには、
新しく基礎を造り直す必要がありますが、
頑丈に作られた基礎の上に安定して載っている浴室を
わざわざ移動させる必要があるのか、
と、考えさせられるほど、立派な基礎でした。
また、基礎が強いだけでなく、太い土台に、
通常より太い四寸柱(12cm角:通常は三.五寸=10.5cm角)
を使っていたり、桁や梁も大きかったりと、
基礎と骨組みのバランスが取れている状態でした。
「住まいの健康寿命診断」の実施&建物の強度や経緯を考察したプラン作り
お客様に調査診断結果をお伝えする際に、
「お客様が希望されているプランは、
非常に使いやすく工夫されていて、
リノベーション後には満足される
良いプランだと思います。」
とお伝えしました。
続けて、
「ご実家の基礎が非常に安定しています。
当時の基準を軽くクリアしていますが、
安定した建物になるような要素など、
建築当時のことで、
何か思い出されることはありませんか?」
と伺いました。
すると、
「何故、わかるのですか?
そういえば、親父が大工さんに、通常より大きい
土台や梁を入れてほしいと話していました。」
と、ご主人が驚かれていました。
![](https://fukurouhouse.jp/wp-content/uploads/2024/04/3208890_s.jpg)
リノベーションを行う際の大前提として、
過去に遡(さかのぼ)って、建物の強度や
建物の過去にどういった経緯があるかなど、
確かめた上でないと、何も始めることができません。
ふくろうはうすでは「住まいの健康寿命診断」を行い、
原点回帰して、建物が建てられた当時まで振り返り、
当時の棟梁や大工さんが、どのように考え、
建物を完成させていったのか、頭の中で再現しながら、
調査診断を進めています。
お客様からは
「床下はじめ各所に対してきちんとした説明があり、
建築当時のことを再現して話してくれた業者は
他にはありませんでした。
一番的を得た回答をいただけたのが、
ふくろうはうすさんでした。」
と、ありがたい言葉をいただきました。
今後、お客様のご希望に沿った形で、
お住まいのバランスを見ながら、改めて、
弊社でプランを練り直していくことになりました。
新築や大規模リノベーションを予定されている方、
「住まいの健康寿命診断」を検討されている方は、
ふくろうはうすの私、高橋までご相談くださいね。
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「ふくろうはうすの住まいるライフ」(FM桐生毎週水曜日12:40分~)はこちら
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群馬県桐生市の工務店
リフォーム・リノベーション専門店
住まいの健康寿命診断士
ふくろうはうす(高橋建装)の高橋でした。
次回は「松本城周辺の武家屋敷と伝統工法『石場建て(いしばだて)』」
のテーマで準備しています。
楽しみにしてくださると嬉しいです。