過去の建築時まで遡(さかのぼ)り強度や経緯を調査する「住まいの健康寿命診断」とリノベーション


ふくろうはうすにご相談いただくお客様は、
既に他社さんの見積もりを取られていて、
具体的なプランまで進んでいる場合もあります。



「ふくろうはうす 健康長寿の家 見学会&相談会」
にお越しくださったお客様の中に、
他社さんの提出されたプランが気に入っている、
というご夫婦がいらっしゃいました。



まずは、
リノベーションした我が家を見学していただき、
お客様のお話を詳しく伺いました。



プランは気に入っているが、事情があって、
その施工店にお任せするのではなく、
改めて別の業者を探しているとのことでした。



後日、お客様のお住まいに伺い
住まいの健康寿命診断」を行いました。



その結果報告と併せて
お客様のお持ちになったプランを私なりに見直した
プラン図と概算での見積もり額をお伝えしました。



今回は、
ふくろうはうすの「住まいの健康寿命診断」の
調査診断の方法、また、
そこから見えてくる棟梁大工工夫、
お客様のお考えや判断などについて
お話させていただきます。





間崩れ(まくずれ)したアンバランスな建物


「ふくろうはうす 健康長寿の家 見学会&相談会」
にご夫婦で来場されたお客様ですが、
ご主人のご両親が建てられたご実家
受け継ぐことになり、そのままでは使いづらいため、
リノベーションすることを決められたそうです。



ご夫婦と娘さん2人の4人家族だそうで、
今回、娘さんたちは来場されませんでしたが、
ご実家の2階を娘さんたちの部屋にしようと
お考えでした。



築40年ほどのお住まいは、
大きな広縁(ひろえん)と2間続きの和室が1階にあり、
2階は1階よりひと回り小さく造られ、
2階の外周に屋根のある
当時人気のあったスタイルのお家でした。



建物の強度から考えると、
1階にある部屋の上に同じ大きさの部屋を造って、
1階と2階の柱や壁の位置が同じであるほど、
安定した建物と言えます。



当時流行っていた、
お客様のご実家のような造りのお家は、
そのようにはなっていないため、
建物のバランスが非常に危うくなっていました。



このような建物の状態を間崩れ(まくずれ)と言い、
本来なら、間崩れしないように設計するのが通例ですが、
2階も1階と同じように広い部屋が欲しいといった
当時のご要望があったため、
建築基準法をクリアできる範囲内で
最大限バランスを取ったと思われる工夫が
見て取れました。



リノベーションを行うためには、
お住まいの使い勝手動線を改善するのは
もちろんですが、建物全体のバランスを考えた
プラン作成と施工が必要になります。





床下を診れば建物全体の80%くらいの健康状態がわかる


住まいの健康寿命診断」は、
床下、天井、小屋裏、室内、外回り、外構、地盤
など、順を追って調査させていただいております。



「床下を診れば建物全体の80%くらいの健康状態がわかる」
と言われており、「住まいの健康寿命診断」の中でも
特に重要視している項目が床下の調査です。



キッチンの床下収納庫のところを点検口として、
ここから床下に潜らせていただくことが多いです。



汚れやカビなどを防ぐため、
白い防護服を着て、マスクを着用して、
床下の調査に臨みます。



床下をほふく前進しながら、
必要があれば、写真動画の撮影を行います。



当時は有筋基礎(鉄筋の入った基礎)になって
間もないころだったため、コンクリートの強度は
それほどないだろうと思っていました。



ところが、コンクリートの強度を測定する
シュミットハンマーを使って測定したところ、
実際には強度が強いと出ました。



また、鉄筋探査機を使って、コンクリート内の
鉄筋の位置やかぶり厚(鉄筋を覆うコンクリートの厚さ)
を測定すると、鉄筋も当時の標準の
1.5倍くらいありました。





地盤まで到達する丈夫で安定した布基礎


お住まいは盛り土の上に建てられていましたが、
盛り土の下の一番安定した地盤まで到達するよう
掘り進められ、そこから基礎が造られていました。



当時は盛り土を少し掘って、
その上に布基礎を造るのがほとんどで、
50~60cmくらいの立ち上がりが通常でした。



ところが、お客様のお住まいは
基礎のベースを含めると1m以上になるため、
通常の倍以上の高さの基礎が作られていました。



鉄筋量も当時の標準以上に使われているため、
当然、費用も倍以上の負担になります。



将来的に安全性を担保するために、
費用の負担は大きくなるけれど、
丈夫で安定した基礎を重要視して
施工の判断をされたのではないかと思われます。



また、お客様のご希望されるプランでは、
浴室の移動が計画されていたため、
確認したところ、浴室の基礎も頑丈に造られていました。



浴室を移動させるためには、
新しく基礎を造り直す必要がありますが、
頑丈に作られた基礎の上に安定して載っている浴室を
わざわざ移動させる必要があるのか、
と、考えさせられるほど、立派な基礎でした。



また、基礎が強いだけでなく、太い土台に、
通常より太い四寸柱(12cm角:通常は三.五寸=10.5cm角)
を使っていたり、桁や梁も大きかったりと、
基礎骨組みバランスが取れている状態でした。





「住まいの健康寿命診断」の実施&建物の強度や経緯を考察したプラン作り


お客様に調査診断結果をお伝えする際に、
「お客様が希望されているプランは、
非常に使いやすく工夫されていて、
リノベーション後には満足される
良いプランだと思います。」
とお伝えしました。



続けて、
「ご実家の基礎が非常に安定しています。
当時の基準を軽くクリアしていますが、
安定した建物になるような要素など、
建築当時のことで、
何か思い出されることはありませんか?」
と伺いました。



すると、
「何故、わかるのですか?
そういえば、親父が大工さんに、通常より大きい
土台を入れてほしいと話していました。」
と、ご主人が驚かれていました。



リノベーションを行う際の大前提として、
過去に遡(さかのぼ)って、建物の強度
建物の過去にどういった経緯があるかなど、
確かめた上でないと、何も始めることができません。



ふくろうはうすでは「住まいの健康寿命診断」を行い、
原点回帰して、建物が建てられた当時まで振り返り、
当時棟梁大工さんが、どのように考え、
建物を完成させていったのか、頭の中で再現しながら、
調査診断を進めています。



お客様からは
「床下はじめ各所に対してきちんとした説明があり、
建築当時のことを再現して話してくれた業者は
他にはありませんでした。
一番的を得た回答をいただけたのが、
ふくろうはうすさんでした。」
と、ありがたい言葉をいただきました。



今後、お客様のご希望に沿った形で、
お住まいのバランスを見ながら、改めて、
弊社でプランを練り直していくことになりました。



新築や大規模リノベーションを予定されている方、
住まいの健康寿命診断」を検討されている方は、
ふくろうはうすの私、高橋までご相談くださいね。


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群馬県桐生市の工務店
リフォーム・リノベーション専門店
住まいの健康寿命診断士
ふくろうはうす(高橋建装)の高橋でした。



次回は「松本城周辺の武家屋敷と伝統工法『石場建て(いしばだて)』」
のテーマで準備しています。
楽しみにしてくださると嬉しいです。

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