今日は、2024年4月29日「昭和の日」です。
我々、昭和世代にとっては懐かしい面影を思い出す
昭和天皇のお誕生日で、
「激動の日々を経て、復興を遂げた昭和の時代を顧み、
国の将来に思いをいたす」祝日とされています。
昭和がはるか昔の時代のように遠ざかってきており、
なんだか寂しいことだなと感じるため、今日は奥様と、
「3丁目の夕日」や「20世紀少年」の映画でも
観てみようかな、と思います。
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そんなまったりと過ごしたい祝日の今回のテーマは
今話題の「石場建て(いしばだて)」です。
「石場建て(いしばだて)」は、
自然石を柱の下に埋め込んで、
それを土台、基礎とする伝統構法で、
寺院や古民家などに使われています。
「石場建て(いしばだて)」の柱を支える礎石(そせき)
お寺の本堂の床は高く造られていることが多く、
階段を使って本堂に上がっていきます。
高いものでは地面からお寺の本堂の床まで
1mくらいあるお寺もあります。
床下を覗くと地面の上に据えた石の上にそれぞれ、
本堂を支えているたくさんの柱が載っています。
柱を支えているそれぞれの石を礎石(そせき)と言い、
礎石(そせき)と柱は固定されていません。
大きな石の下半分を土に埋め込むなど固定して、
その上に柱を立てていく構法で、
地震に柔軟に対応できるように、
敢えて固定しないで、柱を載せるだけでよいと
考えられていました。
いわゆる制震という考え方です。
礎石(そせき)は四角い形のものが多く、
お寺の重い屋根を支えるために
8寸(約24cm)ほどもある太い柱の直下に
それより2周りくらい大きな四角い石を置きます。
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柱の直径が30cmくらいだとすると、
50~60cmくらいの四角い礎石(そせき)の上に、
柱が載っているという感じです。
柱を単に礎石(そせき)の上に
載せておくだけでは、ずれてしまうため、
石の真ん中にくぼみ(ほぞ穴)を空け、
柱の底の部分を凸(とつ)型に加工して、
礎石(そせき)のくぼみに入れることもありました。
昔のお寺の遺跡の発掘調査などをすると、
礎石(そせき)の跡形が出てくることがあります。
松本城(長野県)周辺の武家屋敷の発掘現場&地盤作り
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10年ほど前に、松本城(長野県)の周辺にあった
武家屋敷の発掘調査を行っているところを
見学したことがあります。
武家屋敷は石場建て(いしばだて)で
建てられていたため、
礎石(そせき)の上に柱を立てるには、
地盤が安定していなければなりません。
その地盤がどうなっているのか、
興味があったので見に行くことにしました。
「これだけの本数の柱を支える地盤はどうだったのか?
地盤改良はどのように行っていたのか?」
などの疑問を持って、発掘現場へ出かけました。
発掘現場では、人の背丈よりも深い穴が
掘り下げられ、幾重にも積み重ねられて
固められた地下の様子を見ることができました。
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仮に、人の背丈の深さまで地下へと穴を掘ったとすると、
一番足元の方には、まず、直径が15~20cmほどの
大きな玉石(たまいし:10~60cmの角のない自然石)を
並べて詰めていきます。
次に、その隙間に入るくらいの大きさの石を詰め込み、
その後、小石や小砂利を入れ、さらに砂を混ぜながら、
20~30cmくらいの高さになるまで突き固めていきます。
例えば、これを第1層とすると、
また、同じ手順で大きな玉石(たまいし)や
栗石(くりいし:丸みを持った15cm以下の小石)を
並べて詰め、更に小さな石や砂を混ぜながら、
また、高さ20~30cmほどをつき固めていき、
第2層を仕上げます。
これを繰り返して、20~30cmおきに突き固められた
地層のような状態が造られます。
建築予定の建物の床面積の広さ分をごっそり掘り下げ、
地下の一番深いところから、地層のように地固めを行い、
安定した地盤が造られていました。
地盤の役目は、建物の荷重や外力を分散させることです。
深いところに最初に並べるのは、
大きな玉石(たまいし)ですが、
地層を造って積み重ね、高さが高くなるほど、
並べる石の大きさを小さくしていきます。
松本城の周りの武家のお屋敷は、こうして、
しっかりした地盤のもとに建てられていました。
伝統的で重要な建物は、ほぼ、
このような構法で建てられています。
善光寺(長野市)の床下~大柱のメンテナンスと「お戒壇巡り」
お寺など、床下が高くて、空間が空いている建物は
メンテナンスしやすいという利点があります。
長野市の善光寺さんも「石場建て(いしばだて)」
の工法で建てられています。
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礎石(そせき)の上に、柱が載っているため、
柱の一番下の礎石(そせき)に接する面に
重量がかかって傷みやすくなります。
長年かけて、傷んでしまったところは、
床下から直せるため、長期的に見て
理にかなった方法と言えるかもしれません。
善光寺のケヤキの大柱は、
ひとかかえできるほどの太い柱です。
ケヤキの大柱の根元が傷んできたとしても、
根元の部分を継ぎ足すだけで、
簡単にメンテナンスが完了します。
ケヤキは意外と粘りが強く、
根元は傷んでも、上部は生きていますので、
根元の補修を行うだけで、引き続き、
大柱としての役割を果たしていきます。
また、善光寺は、
本堂の床下に潜れるようになっていて
「お戒壇(かいだん)巡り」=「胎内めぐり」を
体感することができます。
入口から降りて、一歩踏み入れると、
暗闇の世界に引き込まれます。
迷路のようになっている床下を、
壁を触りながら一歩ずつ進み、
途中の「極楽の錠前(じょうまえ)」を触ると、
ご本尊様とのご縁をいただけるそうです。
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長野県を訪れる機会がありましたら、
是非、善光寺に寄って、
ケヤキの大柱や「お戒壇(かいだん)巡り」を
体感していただけたら嬉しいです。
そして、行かれた方は感想をいただけたら嬉しいです。
少し、話が横にそれましたが、
今回は、伝統構法「石場建て(いしばだて)」
について、お話させていただきました。
昔ながらの建築方法などで、他にも、
「何だろう」と思われることがあれば、
是非、ふくろうはうすの私、高橋まで
リクエストしてください。
また、新築や大規模リノベーションを予定されている方、
「住まいの健康寿命診断」を受けてみたい方も、
ふくろうはうすの私、高橋までご相談くださいね。
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群馬県桐生市の工務店
リフォーム・リノベーション専門店
住まいの健康寿命診断士
ふくろうはうす(高橋建装)の高橋でした。
次回は「大型リノベーション前の『断捨離』のお悩みと進め方」
のテーマで準備しています。
楽しみにしてくださると嬉しいです。