地熱を利用しない床下冷暖房システム&吹き付け断熱の効果

以前のコラムで、地熱を利用した全館冷暖房システムについて
お話しましたが、後日、お客様から
リフォーム時に、地熱を利用した全館冷暖房システムに
することはできますか?
とお問い合わせをいただきました。

 

地熱を利用するためには、土を2メートルほど掘って、
空気を循環させるためのパイプを埋め込む必要がありますが、
リフォーム・リノベーション時に、躯体を残しながら
2メートルの土を掘り、パイプを埋め込むことは
ほとんどの場合不可能です。

 

そこで、今回は、スケルトンリフォーム時に、地熱を利用しないで、
床下冷暖房システムを取り入れる方法を採用しましたので、
その方法について、お伝えします。

 

床下冷暖房システムの設置でエネルギーコストを削減

躯体を残して解体し、土の見える状態であれば、
土を除去してベタ基礎に造り替えることで、
コンクリートによる蓄熱、蓄冷ができます。

 

ベタ基礎とは、床下の底面全体に、
鉄筋コンクリートを流し込んで作る基礎のことです。

その後、床下の基礎のコンクリートの上に
床置きエアコン(※)を設置して、床下を半地下状態にし、
エアコンを作動させると、エネルギーコストの削減ができます。

 

※ 床置きエアコンは、
石油ファンヒーターのように床に置くタイプのエアコンで
部屋の隅に置いて使われることが多いです。

 

床下で、床置きエアコンを作動させると、
暖められた(冷やされた)風が、エアコンから下向きに吹き出し、
直接コンクリートに当たります。

 

そうして、床下の基礎の中に暖気(冷気)が蓄えられるので、
その熱(冷気)で空気の流れを作り、循環させるのが
半地下式の床下冷暖房システムです。

 

スリット(隙間)、吹き抜けを使った空気の循環

間仕切りの壁の内部に、空気の通り道を作っておけば、
床下から壁を伝って屋根裏まで、暖気(冷気)が流れます

 

間仕切り壁の少ないお住まいでは、
床に直接、スリット(隙間)を開けて空気を循環させます。

窓から入り込む熱や冷気の影響で室温が左右される窓下に
スリット(隙間)を開けるのが最も効率的です。

 

建物全体にバランスよく空気が循環するように
必要な空気量を計算して、スリット(隙間)を開けます。

 

ただ、スリット(隙間)は、フィルター状になっていて
ほこりが溜まりやすいのが弱点です。

 

マメにお掃除していただくと、気持ちのよい空気が
お住まい全体を適温に保ちながら循環します。

 

スリット(隙間)が塞がれると、通気が遮断されるため、
モノを置いたり、マットで覆ったりしないよう注意が必要です。

 

1階の天井から2階の床まで通気口(穴)を開けて貫通させると
1階から2階への空気の流れが出来上がります。

 

個室を避け、廊下の端などに設置して、
建物全体にまんべんなく空気を循環させます。

 

但し、空気の循環をさせない場所があります。

キッチン、お風呂、トイレなど水回りは独立させ、
同時給排型の換気扇を場所ごとに設置し通気を行います。

 

キッチンのレンジフードに吸い込まれるにおいや
お風呂で発生する水蒸気などは、そこだけで
換気を完了させるのが実用的です。

 

また、吹き抜けを利用して暖気(冷気)を循環させることもできます。


 
吹き抜けを通って空気が循環できる構造にして、
1階から2階まで外壁全体に断熱材を入れ高断熱化すると、
半地下の床下エアコン(床下冷暖房システム)を使って、
家全体をまんべんなく適温にすることができます。

 

地熱は使わなくても、
床下エアコンを使った冷暖房システムを取り入れると、
全館冷暖房の効果を得られ、エネルギーコストも抑えられます

 

床下の吹き付け断熱で寒さ、暑さ対策

他にも、最も冷暖房効率を上げる方法のひとつに
床下断熱が挙げられます。

 

以前のコラムで、断熱材を使った冬の寒さ対策について
お伝えしたことがありますが、
断熱材は夏の暑さ対策にも効果があります。

 

「ふくろうはうす」では、直近で、
床下断熱のみの施工をさせていただいたお住まいが
数軒あります。

 

フローリングの下の裏側に吹き付け断熱を行いますが、
リフォームに限ったメリットとして、
フローリングの緩み(少しギシギシという音がする程度)を
止めることが出来ます。

 

下地から離れたフローリングが多少浮いていても、
直接床下に吹き付けられた断熱の層が、接着剤代わりになり、
床下から固まって緩みが止まります

 

なおかつ、床下からの湿気を遮断するので、
木材への湿気の影響が少なくなります。 

 

厚さ10cmほどのメレンゲ状の層に仕上げますが、
2種類の液体を混ぜ合わせると、
空気中の水分を含み瞬間発泡して数秒で固まります

吹き付け断熱

床下に密着するので、蓄熱(蓄冷)の効果が高く、
冷暖房効率が上がるため、過ごしやすくなるばかりでなく、
エネルギーコストも削減できます。

 

床下断熱の違いとは?グラスウール(昔)から吹き付け断熱(現在)への薦め

築20~30年のお住まいで、床下断熱のために
床下に貼り付けていたグラスウールが脱落して
垂れ下がっている状態をよく見かけます。

また、板状の断熱材が貼り付けられていたのが、
反り返って脱落し、落ちているお住まいも多いです。

 

断熱材はフローリングや壁に密着していないと
空間が生じて空気層ができるため、断熱効果が半減します。

 

床下断熱は、床の裏側と断熱材が一体化する吹き付け断熱が最適で、
床下に作業するだけの空間があれば、施工することが出来ます。

 

築50年くらいのお住まいだと断熱材が全く入っていないため、
外気温の影響をもろに受けますが、
床下の吹き付け断熱のリフォーム・リノベーションによって、
冷暖房効果が劇的に上がった事例もあります。

 

築20年以上の方は、この機会に吹き付け断熱に
切り替えてみてはいかがですか?

 

ふくろうはうすがお手伝いいたします。

床下吹き付け断熱施工のお見積はこちらから

床、壁、天井ごとに使い分けて断熱効果アップ

しかし、家全体を吹き付け断熱にすればいいというわけではなく、
断熱材の遮熱性湿気を含みやすいかどうかなどの特性を生かし、
適材適所で使い分けると、非常に断熱効果が高まります。

 

屋根については、吹き抜けなど
直射日光の輻射熱(ふくしゃねつ)が通りやすいところは
板状の断熱材が適しています。

天井断熱材

輻射熱(ふくしゃねつ)を遮るための通気層を作るため
板状の断熱材と屋根材との間に30~40mmの空間が必要です。

 

また、断熱材の屋根側にアルミフィルムを貼り、
輻射熱(ふくしゃねつ)を反射させて熱が入ってくるのを防ぐ方法が
最近多く取り入れられています。

 

天井がある場合は、
グラスウールとロックウールを重ねるダブル断熱の効果が高く、
壁にはロックウールが適しています。

 

グラスウールとロックウールについては、
以前のコラムで詳しく解説していますので、
参考にしていただけると嬉しいです。

 

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床下冷暖房システムや吹き付け断熱について
詳しく聞きたい方、取り入れてみたい方は
住まいの健康寿命診断士」の私、高橋まで
お気軽にご相談ください。

 

オープンハウス「ふくろうはうす 暮らしの見学会」は、
私、高橋がリノベーションを行い、暮らしている家をそのまま
公開していますので、間取りや設備だけでなく、暮らしを
より身近に感じていただける体験型見学会です。

 

現在、オープンハウス「ふくろうはうす 暮らしの見学会」に
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群馬県桐生市にお住まいの方はもちろん、
みどり市、太田市、伊勢崎市、前橋市の近隣にお住まいの方も
お気軽にお越しくださいね。

 

リフォーム・リノベーション専門店
住まいの健康寿命診断士」こと
ふくろうはうすの高橋でした。

次回は「お家と外周りを調和させるエクステリア【その1】ウッドデッキ編」
のテーマで準備しています。
お読みくださると嬉しいです。

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