新築や建て替えでは「家づくり」のために
設計や間取りのプランに時間をかけますが、
家を建てる土地そのものを気にかけることは
ほとんどないと思います。
ふくろうはうすの過去の事例でも、いざ、家を建てようとした時、
その地下に潜んでいた問題に遭遇したことがありました。
今回のコラムでは、
家の基礎よりもっと深い場所、
地下に潜んでいるかもしれない問題と
地下からいただける恩恵について解説します。
地盤調査の結果でわかった潜んでいた問題!?
建て替えをする際には、建物を解体して更地にしてから、
しばらく更地のまま置いておく期間があります。
地盤をある程度乾燥させるための期間が必要となり、
地盤調査して問題がなければ、新築が始まります。
「要改良」の判定の場合は、基礎工事をする前に
基礎の部分にコンクリートの杭を打つなど、
地盤を補強してから、新築の施工が始まります。
新築のために更地の地盤調査をしてみたら、
土木系の廃材が大量に埋まっていることがわかり、
その廃材を撤去しなければ、地盤が安定しないという
表面には見えなかった問題が浮上したのが
前出の事例です。
新築のために見積もっていた金額とは別に、
多額の廃材処理費の負担がかかることになりました。
更地の地下事情など知る由(よし)もないお客様は、
何も知らずに土地を購入してしまっていたため、
新築工事を中止しようかと悩まれましたが、
予定通り新築する決断をされ、廃材処理費も負担されました。
土地を4メートルほど掘って、汲み出した廃材は
10トントラック50台分くらいありました。
地下からの恩恵、地熱を使った全館冷暖房システム
廃材を完全除去後は、土を固めながら埋め戻しますが、
ただ埋め戻すだけではつまらないため、
地熱を使った全館冷暖房についてご提案をさせていただくと
お客様から「是非取り入れたい」とお返事をいただきました。
地下3メートルくらいのところで、地中の温度は
1年を通して15~16度くらいを保っています。
「井戸水が、夏は冷たく、冬は温かい」のは
地中の温度と外気温との差でそのように感じるのです。
4メートル掘った地中に樹脂のパイプを通して埋めて、
一方の先端は建物の日陰になる場所(地上)に
もう一方の先端は建物中心部の床下に配置して
まんべんなく空気が循環できるようにしました。
コンクリートにはもともと蓄熱性がありますが、
さらに、蓄熱ができるような配合にして
コンクリートの基礎を作りました。
また、建物の日陰になる地上のパイプ先端部には、
送風機を設置しましたので、地上から送られた空気が
樹脂のパイプを通って地下の地熱で温められ、
温かくなった空気が床下に放出されます。
床下には冷暖房システムを設置していて、
床下に放出される温かい空気を使って暖房を行うため
光熱費の負担が軽くなります。
夏場には、冷たい空気が地下から上がってきますので
冷房の効率が良くなります。
また、壁の間の空間を使って空気を建物全体に循環させています。
床下の冷暖房システムから、壁を伝って天井裏まで
温かい(冷たい)空気が上がっていくことで、
部屋の温度を温め(冷やし)ます。
空気が小屋裏にたどり着くと小さな循環ファンを回して
屋根裏の空気を均一化させています。
以前のコラムでシーリングファンについて解説しましたが、
天井裏でシーリングファンが作動している状態です。
地熱を使った全館空調(冷暖房)システムで光熱費の削減
この地熱を使った全館空調(冷暖房)システムですが、
お客様と一緒に経過観察をさせていただいて約10年になります。
電力だけで冷暖房システムを作動するのと比べて
地熱を使って作動するとどれくらい光熱費の節約ができるのか、
お客様に協力していただき、換算してみると
約25%の光熱費が節約できていました。
近年は特に猛暑と言われるほど夏の暑さが厳しいですが、
猛暑下では約30%の光熱費の節約ができました。
全館空調(冷暖房)システムではこの方法が一番効率が良いと
自負しています。
但し、地熱利用はあくまで、冷暖房の補助的役割で、
エネルギーコストの削減につながるものであり、
地熱そのもので冷暖房を賄(まかな)えるものではありません。
土を掘り返す作業が必要になるため、
簡単に導入できるシステムではありませんが、
1.7~2メートルくらいの深さがあれば、
年間通して使える地熱を取り入れることが出来ます。
庭づくりをする時に土の入れ替えの必要があり、
その機会に1.7メートルほど土を掘って
システムを導入されたお客様もいらっしゃいます。
特に、新築時には導入しやすいので、
エアコンを部屋ごとに設置するよりも、
地熱利用の全館空調(冷暖房)システムにした方が
トータルのエネルギーコストが抑えられます。
そのためには、ある程度の高気密高断熱化も有効です。
但し、あまり高気密にすると、かえって効率が悪くなります。
適度な湿度を外気から取り入れる方がよいのではという仮説で
相関関係を実験中です。
結果がご報告出来るようになれば、
改めて解説させていただきますのでお楽しみに。
地熱を使った全館冷暖房システムに興味ある方、取り入れてみたい方、
新築やリフォーム、リノベーションの計画のある方は
こちらからお問い合わせください。
また、オープンハウス「ふくろうはうす 暮らしの見学会」に
お越しいただくと、新築やリフォーム・リノベーションの
施工方法などを具体的に見たり、感じたりしていただけます。
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リフォーム・リノベーション専門店
「住まいの健康寿命診断士」こと
ふくろうはうすの高橋でした。
次回は「リフォーム・リノベーションか建て替えか? その1、建物編」
のテーマで準備しています。
お読みくださると嬉しいです。