群馬県桐生市も梅雨の湿気から解放され、
いよいよ夏本番となりました。
蒸し暑さから、太陽に照り付けられる
じりじりとした暑さに変わりましたが、
引き続き、水分補給や室温の調整などを行い、
体調の変化にはくれぐれも気を付けてくださいね。
ところで、ずっと開催が控えられていた
「桐生八木節まつり」が
2023年の今年、4年ぶりに全面開催となり、
桐生に熱い夏が戻ってきました。
8月4日(金)から昨日6日(日)までの3日間、
もしかするとあなたもお祭りに参加され
楽しまれた方もいらっしゃるのではないでしょうか?
![夏祭りに参加され、楽しまれたましたか?](https://fukurouhouse.jp/wp-content/uploads/2023/07/1089110_s.jpg)
参加された方は、
祭りのあとの休養をゆったり取ってくださいね。
そして、桐生八木節まつりに来たことがない方は、
ぜひ、来年参加していただけたら嬉しいです。
お祭り情報は、こちらでチェックできますよ。
話は変わりますが、今から約4年前の2019年に、
昭和村に住む妹家族の家(古民家)をリノベーション
させていただきました。
広い玄関土間に「薪ストーブ」を置くと、
壁に入れた断熱材との相乗効果で、
家の中が驚くほど暖かくなり、
冬の家族の過ごし方が激変したことを
以前のコラムでお話しました。
まだ読んだことがない方は、ぜひ、読んでみてください。
今回は、そんな妹家族の住む古民家の夏バージョン、
古民家の夏の過ごしやすさについてお伝えします。
古民家の風抜けは圧力差換気という自然換気
リノベーションのビフォー状態の古民家は
もともと風が通るように造られていました。
圧力差換気という仕組みで自然換気が行われますが、
古民家はその仕組みをうまく取り入れられています。
ふくろうはうすのオープンハウスで例えると、
1階の階段室から吹き抜けた上昇気流が
2階の天窓から抜けるよう、
煙突効果を利用した圧力差換気となり、
自然に換気できる仕組みになっています。
古民家は天窓ではなく、屋根の棟の上に
通気や採光のための小さな屋根(腰屋根:こしやね)が
取り付けられ、その役割を果たしています。
![屋根の棟の上にある通気や採光のための小さな屋根を腰屋根といいます](https://fukurouhouse.jp/wp-content/uploads/2023/07/22296153_s.jpg)
南側に少し低い窓があり、北側に高い窓があると、
自然に圧力差換気ができますが、
廊下やひと部屋を挟んで窓がある場合は、
室内の圧力が高まり、重い空気が下に溜まることもあり、
それらを見越した窓の設置が大切です。
古民家は土地の特徴を生かして、
冬場と夏場の風の取り入れ方が違うため、
必ずしも東西南北に窓を開けるわけでなく、
少しずらしたりして風抜けをしています。
妹家族の古民家をリノベーションするにあたり、
換気の工夫をどのようにしているのか、
地域の古民家の様子を見させていただきました。
築100年以上経った建物もあり、
当時の大工さんの仕事に出会い、
改めて、先人の知恵の素晴らしさに
触れさせていただきました。
地区によって、窓の向きが同じ方向かと思っていると、
同じ地区でも、くぼんだり引っ込んだりした場所など、
地形や環境によって、古民家の造りが微妙に違っていました。
同じ大工さんの仕事かなと思われる建物でも、
地形や環境の違いによって違う工夫が施されています。
昭和村は、赤城山から続くなだらかな高原の斜面で、
斜面を這うように風が流れます。
冬の風の流れは北西から南東へ向けてですが、
夏は逆の向きの流れになります。
![季節ごとの風向きをうまくキャッチして風を取り入ます、](https://fukurouhouse.jp/wp-content/uploads/2023/07/26733250_s.jpg)
季節ごとの風向きをうまくキャッチして、
例えば、地窓から風を取り入れ、
腰屋根まで自然に吹き抜けるという工夫が
どの古民家でも工夫されています。
地窓(じまど)とは、
床近くに設置された低い窓のことです。
地中熱を利用した古民家の夏のひんやり土間
妹家族の古民家のリノベーションでは、
窓をそのまま活かし、
窓ガラスをLow-E(ロー・イー)ガラスに替えて、
断熱効果を強化しました。
冬場の土間は、薪ストーブの熱が伝わり
ほんのり暖かくなり、
夏場の土間はひんやりした状態が続くため、
夏も冬も家族が土間近くで
快適に寛(くつろ)いで過ごしているそうです。
![冬の土間は薪ストーブの熱でほんのり暖かく、夏場の土間はひんやりしています](https://fukurouhouse.jp/wp-content/uploads/2023/07/37-1024x683.png)
地中の温度はほぼ一定で、夏は外気温より低く、
冬は外気温より高いという特徴があり、
土間は地中の温度がダイレクトに伝わります。
夏場で例えると、地中熱を放散された土間は、
外気温より低い温度のため、冷たく感じられます。
壁や窓ガラスを断熱(蓄熱)化しているため、
土間の地中熱の冷感効果が長く続き、
ずっとひんやりしている状態です。
そもそも高原地帯なので朝晩は涼しく、
窓を開け放すと真夏でも寝られないくらい
夜は寒くなるそうです。
年々、全国的に日中の暑さが厳しくなっているので、
念のため、大型のエアコンを設置しましたが、
この4年ほどの間、エアコンを使ったことはなく、
気温の高い昼間でも、
エアコンなしで十分過ごしやすいとのことです。
妹家族の古民家の地下水の効能と利用
妹の住む昭和村は、比較的浅いところに地下水があり、
1.5mくらい掘ると地下水が出ます。
地下水が地面近くにあり、外に近い土間では、
夏場は地下水が蒸散する時に気化熱が発生し、
周囲の温度が冷却されます。
そのため、地中熱の放散と同時に気化熱も加わり
土間が一層涼しく感じられるのです。
外気温より低ければ体感温度は下がりますが、
家の外と土間では、実際に気温が6~7℃違います。
妹の家の敷地内に、地下水が溜まる池がありますが、
池の側面に亀裂があり、そこから地下水が湧き出しています。
![池の側面に亀裂があり、地下水が湧き出しています](https://fukurouhouse.jp/wp-content/uploads/2023/07/22564625_s.jpg)
昔は飲み水として使っていたそうで、
リノベーション前までは、
池からお風呂まで、地下水を引き、
ポンプでくみ上げて、お風呂用に使っていました。
リノベーションを機に上水道に切り替えたため、
現在は、トラクターの洗車用、こんにゃく芋の洗浄用
などの用途で池に溜まった地下水を使っています。
薪ストーブ用の薪は冬までに備蓄
妹の家の薪ストーブは、
比較的何でも燃やせるタイプのため
ふくろうはうすの現場で出た古材などを
取っておいて束にしておき、
たまに遊びに来る妹の軽トラックに積んで
持ち帰ってもらっています。
薪ストーブ用の薪は、春先から秋にかけて集め、
時間をかけて乾燥させるのがセオリーとされていますが、
建築材は、もともと乾燥していて、
そのまま燃やしてもよく燃えるため、
薪として使いやすい利点があります。
冬がやって来るまでに、
少しずつ薪を蓄えて、古民家の冬に備えます。
![薪ストーブの薪は、冬がやって来るまでに少しずつ蓄えます](https://fukurouhouse.jp/wp-content/uploads/2023/07/27040849_s.jpg)
リノベーション後は断熱効果が発揮され、
薪ストーブを焚くと、家全体が暖かくなり、
一度暖まると冷えにくいため、暖まったら
薪ストーブを消すことも多いそうです。
というわけで、昭和村に住む妹家族の古民家、
夏ものがたりは以上になります。
古民家の夏も冬と同様に、過ごしやすく、
自然に家族が集う心地の良い空間になっています。
古民家のリノベーションを予定されている方は、
ふくろうはうすの私、高橋までご相談くださいね。
群馬県桐生市の工務店
リフォーム・リノベーション専門店
住まいの健康寿命診断士
ふくろうはうす(高橋建装)の高橋でした。
「ふくろうはうすの住まいるライフ」(FM桐生毎週水曜日12:40分~)はこちら >>
次回は「夢を叶えた若き店主の韓国カフェ『café CREMA(カフェクレマ)』
2023年7月 伊勢崎市でオープン!」のテーマで準備しています。
楽しみにしてくださると嬉しいです。