「住まいの健康寿命」を考慮したリノベーションと建て替え


ふくろうはうすには、お住まいの
様々なご相談が寄せられています。



不具合原因補修についてはもちろんですが、
まだ、不具合が発生していない状態で、
お住まいそのものがいつまで持つのか、
という不安をお持ちのお客様が多いです。



前回までのコラムで、親から子、孫へと
住み継ぐための二世帯住宅リノベーションの
お話をさせていただきましたが、
最近は、お客様から、
お住まいの寿命についてのお問い合わせを
よくいただいています。



今回はそんな「住まいの健康寿命
についてお話させていただきます。




リノベーションか建て替えか!?


「我が家は築40~50年経っています。
建て替えをした方がよいでしょうか?
リフォーム、リノベーションして、
躯体寿命の尽きるまで使った方が
得なのでしょうか?」



このような
お客様の素朴な疑問に対して、
ほとんどの工務店さん、建築事務所さんは、
建て替えを勧めることが多いです。



残念ながら、
建物全体を俯瞰(ふかん)して、
総合的に見るための知識経験が少ない、
そんな工務店さんや建築会社さんは
残念ですが、意外と多いです。



また、リノベーションは、建て替えよりも
費用を抑えることができますが、
将来にわたって、リノベーションは、
本当に費用負担が少ないのですか?
そもそもリノベーションは
エコなのでしょうか?」
というお問い合わせをいただきました。



リノベーション、もしくは、建て替えを行い、
時間が経過したところで、
最終的なコストを計算したら、
どう変わるのかというお話です。



結論から言えば、
ケースバイケースと言えます。



例えば、その建物に対して
思い入れがあり、愛着がある場合は、
その建物の価値基準が高いため、
維持管理が可能なレベルで修復できるのなら、
リノベーションに適していると言えます。



建物の価値基準が低い場合は、
リノベーションで建物を整えるにしても、
限度があるため、建て替え
視野に入れた方がよいと言えます。



建て替えの場合、建物をごっそり撤去して、
新しい建材を使って1から造り直しますが、
リノベーションの場合は、
建物に使われている建材をそのまま、
あるいは補強して、引き続き使うため、
費用が抑えられ、エコにも繋がると言えます。




天然自然の木材と人工的に造られた集成材


古民家再生の場合、柱、梁(はり)など、
今では手に入らない材料を引き続き、
使うことになります。



これを価値観として、お金に換算するのは、
あまり適当ではないかもしれませんが、
例えば、築100年の古民家の立派な柱や梁(はり)
同等の木材を探して、新築で建てるとしたら、
費用は通常の2~3倍、
もしくは、それ以上かかると思われますし、
そのような木材は見つからないかもしれません。



昔は、家を建てる時、天然自然の木材が
使われていましたが、
今から30~40年前には、ヨーロッパから
集成材が輸入され、盛んに使われるように
なりました。



集成材は、糊を使って木材貼り合わせて、
柱や梁(はり)の太さになるよう、
人工的に造ったものです。



日本の農林規格(JAS規格)で、
構造材として集成材が認められたのが、
昭和40年代です。



そこで、生産設備が整っていて、
海外で安く生産できるところを探すと、
当時、ベルリンやドイツなどに、
昔から化学工業会社がたくさんあったため、
日本の会社が設備投資を行い、
集成材輸入を促しました。




集成材の柱や梁(はり)の寿命は短い



海外の工場で生産して出来上がったものが輸入され、
JAS規格に適合しているかどうかを調べると、
不合格の品質のものを合格品として扱わないと、
分譲住宅の工期に間に合わないという問題があり、
本来であれば、NG判定廃棄されるものが、
結果的に、市場に出回ることになりました。



当時、分譲住宅や注文住宅などの
柱や梁(はり)に使われた集成材
今、限界を迎えています。



規格外のもの、はじかれたものを使って
ある会社が分譲した建物は、欠陥住宅の指摘を受け、
行政の手が入ることになりました。



私が、実際に目の当たりにしたのは、
集成材が2~3mm裂けている状態でした。



垂直荷重がかかっている柱に
集成材が使われていて、
特に、通し柱管柱(くだばしら)と呼ばれる、
2階を支えている柱に亀裂が発生していました。



集成材は、もともと、断面にのりをつけて
プレスして貼り付けたものですが、
おそらく、当時、規格に適合しないとされていた
集成材は接着が弱かったと思われます。



このような場合、柱を交換する以外に、
補強する方法はありません。



スケルトンリフォームにすれば何とかなる、
もしくは、建て替えの必要があります。



皮肉なことに、輸入先のヨーロッパでは、
集成材はあまり使われていません。



使われていたとしても小規模のもので、
耐久性を持たせなくてもよいと思われる部分にしか
使われていないのが、現状です。



集成材を柱や梁(はり)に使うと、
建物寿命が短くなるため、
ふくろうはうすでは、お勧めしていません。


住まいの健康寿命」を考えたリノベーションや
建て替えを計画されている人は、
ふくろうはうすの私、高橋までご相談くださいね。


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群馬県桐生市の工務店
リフォーム・リノベーション専門店
住まいの健康寿命診断士
ふくろうはうす(高橋建装)の高橋でした。



次回は「地盤改良工事を伴う場合のリノベーションと建て替えの違い」
のテーマで準備しています。
楽しみにしてくださると嬉しいです。

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